ランカーシーバスを狙う秘訣は「季節進行」と「ベイトの動向」を把握すること!【ヒヤマンのランカーシーバス道vol.1】

関東が誇る一大シーバスフィールド「涸沼(ひぬま)」をホームとするシーバスエキスパート・檜山さん(通称ヒヤマン)。涸沼でこれまでキャッチしたランカーシーバス(80cmオーバー)は数知れず。しかもいずれのランカーも四季に沿った「独自の狙い方」でキャッチしているという。そんな檜山さんが培ったランカーシーバス攻略タクティクスをルアマガプラスで公開!パターンや時合、ルアーなど、どのような事を意識してランカー導き出しているのか。檜山さん自身実釣記をもとに解説していただきます。今回は涸沼の「春のコノシロパターン」攻略編です!

●写真/文:檜山敏崇

2024 新製品情報

北関東が誇るランカーシーバスハンター・ヒヤマン!

檜山敏崇(ひやま・としたか)
茨城シーバスの聖地・涸沼をホームとするDAIWAフィールドテスター。「涸沼=ヒヤマン」と呼ばれるほどの涸沼水系エキスパートであり、これまでに数多の涸沼ランカーをキャッチしてきた凄腕。大型ルアーからワームまで、幅広いルアーを使いこなし、難攻不落とされるボイル攻略も得意とする。茨城サーフのフラットフィッシュのエキスパートとしての顔も持つ。

檜山「皆様こんにちは! DAIWAフィールドテスターの檜山敏崇です。昨年ルアマガプラスで僕のホームである涸沼(茨城県)のシーズナルパターンを連載させていただきました」


檜山「そして今シーズンも連載を続行!させて頂くこととなったのですがシーズナルとは違う、新たなテーマで記事を書かせていただきたいと思います!

新しいテーマは『ランカーシーバスへの道』。ランカーを釣り上げるには、どの様な事を意識しながら釣りをしていくのか。パターンは?時合いは?ルアーは?と、シーズン毎の実釣記を元に、私なりの持論を含め記して行きたいと思います!(キリっ!!)」

初春の涸沼水系の状況

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シーバスにおける「ランカー(80cm以上)」クラスは秋から冬にかけてをイメージする人が多いかと思う。しかし檜山さんにとってランカーを狙う時期はそれだけではない。捕獲するまでの作業は「早春」から始まっている。

檜山「そうですね、真冬を過ぎて、海で産卵を終えたシーバスが徐々に涸沼周辺へと戻りつつある3月。今年は個人的にも色々と忙しく、なかなか釣りに足を運べないでいました。周りからポツポツと釣果が聞こえて来てはいたものの、釣行時間を設けられずな日々…。それでも、いつでも釣りがスタート出来るようにと、仕事帰りに河川のベイトの入り具合は欠かさずチェックしていました。ロッドを握らずに気付けばもう桜も散り始めた4月初頭。今年は桜の開花も例年より10日程早く、年々季節の進行が早まっているような気がしております」

仕事が忙しく、竿を振ることは出来ずとも、現場でのチェックを欠かさずに行う。季節の進行を把握していれば、来るべきタイミングに備えておくこともできる。ランカーを求めるには徹底した「現場主義」が必要なのだ。

檜山「シーバスフィッシングの春と言えばバチ抜けパターンや稚鮎パターンと、比較的小型で軽めのルアーを使い繊細な釣りがメインです。産卵を終えて体力を使い切ったシーバスが、エネルギーを消耗せず比較的容易に捕食しやすい小型のベイトや遊泳力の弱いバチ等を捕食し、体力をつけながら徐々に河川内に戻ってきます。前途したように、年々早まっていると感じる季節の移り変わりがシーバスの行動にも大きく影響しているのではないかと感じずには居られません。

それは年々少しずつ上昇している海水温に伴い、私が欠かさずチェックしていた春コノシロの涸沼川への遡上も年々早まっていと感じているからです」

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通常近隣の東京湾でのコノシロパターンは秋から冬、涸沼では春にランカーサイズを狙うパターンとなる。

檜山「真冬に河口付近に溜まるコノシロは水温の上昇と共に産卵の為涸沼水系に入ってきます。2月3月のシーバスは産卵後のアフター個体が多いからか、素早い動きのコノシロにはまとまったシーバスの群れが付いていることが少なく、コノシロは大量に居るのだがシーバスからの反応はいまいちです。有名な秋の東京湾コノシロパターンのようにはいきません。

まだ回復段階にあるシーバスはバチやマイクロベイトの様な食べやすいものを捕食ターゲットにしていると思っています。徐々に戻りつつある体力と共にコノシロにも着き始めるのが丁度桜の散る頃。数は出ませんがこの時期にヒットしてくるサイズは比較的大型の個体が多く、私がこの時期になると意識している4月の『春コノシロランカーシーバス』がこのパターンなのです」

全体的な個体数は少ないが、ランカー以上を中心とした春のコノシロパターンが涸沼にはあるのだ。

『春コノシロパターン』におけるベイトの動向と種類

檜山「3~4月にかけてロッドを振る時間は持てなかったのですが、通勤途中に涸沼川を毎日通る恵まれた(!?)環境に居る私。釣りはやらずとも、先述したコノシロの入り具合を確認しながら『海鵜』の動きも度々チェックしていました。この海鵜が河川内に入って来たコノシロや大型サヨリの存在を知らせてくれるのです。

そしてある日の夜勤明けの早朝、何十羽もの群れで飛来して来るや否や河川に一斉にダイブ。しばらく探してそこに餌となる物が居ないとそそくさと次の場所に飛び立っていきます。数日鵜の動きを観察しているとひっきりなしにダイブする鵜の群れを発見。浮上した鵜の口元には丸々したコノシロが!大量に入ってきた模様で『コレはそろそろチャンス到来か?』とその数日後の仕事帰りに涸沼川へ向かいました」

日々の状況を確認するのであれば、コンスタントにフィールドで竿を振ることが一番ベストであるのは間違いない。しかし仕事や家庭を両立する中で、それは決して簡単な行為ではない。だが「釣りをしない」のであれば帰宅途中や通勤途中、散歩がてらなど、多くの時間を割かずとも短時間で済ませることができる。そして定期的に見ることができれば季節の進行や変化にも気づくことができるだろう。

ランカーシーバスの時合いと実釣記

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虎視眈々と春のランカー時合に向けて準備を進めていた、檜山さん。果たして今年の春のコノシロシーバスパターンは攻略できたのだろうか。

檜山「以前雑誌等でも記した内容なのですが、自身の経験値上、大型のシーバスは『捕食のタイミングが違う』という認識があります。もちろん地域差はあると思います。シーバスゲームにおいて全国的にそうなのかは定かではありませんが、ランカーシーバスと言われる大型個体はフッコクラスのアベレージサイズとはまた違ったタイミングで釣れた事が多々あるのです。大型になればなるほどそれが色濃く出る気がしています。過去の経験ではフレッシュで元気のある50〜60cmのシーバスが果敢にアタックしてくるような時は、中型のシーバスは数は出てもデカいのがなかなか釣れない経験が多く、デカいやつほどポロッと一匹だけ釣れたという事が多いのです。断言は出来ませんが、私はサイズで時合いが異なっていると思っています

1ヶ月以上に沈黙を破りいざ実釣!この時のタイドグラフは小潮でした。しかも時間的にも下げ潮のソコリ間際のタイミングで、今までの経験からして絶好のタイミングです。流れが緩む、むしろそろそろ止まるというタイミング。正にそこに狙いを定め釣行しました。ランカーシーバスを狙って釣る一種の時合いと自分的な解釈をしています。多分各地域でランカーシーバスを沢山釣られているアングラーの方は同じ様な経験があるのではないでしょうか。

勿論このタイミングでの『ベイトの有無』が一番のファクターです。流れ的に時合いだとしてもそこにベイトが居なければシーバスは入ってきません。この時もコノシロが流芯付近に溜まっていました。ボイルは無いがベイトとなるコノシロが水面の何かをついばんでライズしている状況です。

流芯まで届かせるにはそれなりに飛距離が出るルアーが必要! ということでチョイスしたのが、今春発売したぶっ飛びミノー『ショアラインシャイナーZバーティスR140F-SSR(DAIWA)』

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檜山「緩くなり止まりかけの流れにルアーをなじませてゆらゆら流すこと数投、『ズン!』と抑え込むようなバイトを貰い反射的にフッキング!フックアップもしっかり決まりファイトスタート、水中で首を振るストロークの幅から『多少グッドサイズかな?』位で落ち着いたファイトをしていました。

使用していたロッドは『モアザンブランジーノEXAGS94MMH STRONG BITE CUSTOM(DAIWA)』。紛れも無いパワーロッドですが、軽さから故にパワーが有るとは感じ辛い。今シーズンから使用していますが釣行回数も数える程だった為、この時はこのロッドにまだ慣れていませんでした(笑)。
レギュラーテーパー気味な調子で全体的に曲がってくれるベントカーブ。強靭なバットパワーも相まって、ファイト中焦ることも無く、余裕を持って主導権を握れました」

檜山的!春コノシロランカーシーバス用タックル

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  • ロッド:モアザンブランジーノEXAGS 94MMH STRONG BITE CUSTOM
  • リール:エアリティLT4000-XH
  • ライン:UVF モアザン デュラセンサー×8+Si² 1.2号
  • リーダー:モアザンリーダーEX II TYPE-F 25lb

※全てDAIWA

檜山「モアザンブランジーノEXAGS 94MMHはコノシロ付きの大きめなルアーから小型プラグまで扱える万能パワーロッド。河川のストラクチャー狙いや適度なレングスによる操作感の良さは天下一品です!ランカーシーバス狙いの方には是非触って貰いたいロッドに仕上がっています。私自身使い始めてまだ日は浅いですが、既にこのロッドで2本のランカーサイズをキャッチしています。まだまだポテンシャルを引き出せそうなロッドだと思っています」

檜山「キャッチしたのは狙い通りの90cmのランカー!ぶっちゃけこの魚を掛けてキャッチするまではランカーある無しくらいのサイズだと思っていました(爆)」

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檜山「10年ひと昔とは言いますが、このサイズでも年間通して釣行しても昨今の涸沼水系ではなかなか出にくくなってしまいました。長くに渡りシーバスフィッシングをしているロコの方々も口を揃えてデカいのが減った…と仰っている中貴重な一尾となりました。止まりかけの流れ、そこに溜まるコノシロ。コノシロに付いたアフターからの完全回復した個体です」

「再現性」を確認にするため再度現場へ出撃!連続ランカーをキャッチ!!

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檜山「90cmをキャッチしてから10日後、前回釣行時の似たような潮周りのタイミングに、似たようなポイントにエントリー。時間帯は違えど、やはりソコリ間際のタイミングです。

現場に到着するとコノシロ付きとは違った感じで何か小さめのベイトが流れの真ん中で捕食されているを発見。ボイルが見られた状況からして大きめのルアーでは無く、少し小型のルアーを中心に攻めてみた結果、これまた今期発売された『グルービン70HS(DAIWA)』のミディアムからの早巻きで止め瞬間にドン!っと強烈なアタリ!」

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檜山「やはり流れの緩みかけからの止まり間際。ベイトの種類は遠過ぎて確認出来ませんでしたが、リアクション気味に誘いを入れるとヒットしてくれたのは88cm!」

二匹目のドジョウとまでは言えないが、現時点での涸沼水系では申し分無いサイズ。状況は少し違えど、状況を読み解きランカーをキャッチすることできた。

実は「ランカー」に拘っていない!? 檜山さんが考える「これからの」シーバスフィッシング

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檜山さんにはここまで春のランカーパターンについて語って頂いたわけだが、当の本人はランカーサイズを釣ること以上に「大事にしたいこと」があるという。

檜山「実際のところ、現在はランカーに拘って釣行しているわけでは無く、たとえ小さくても目の前に居るであろうシーバスを如何にして騙すか。手持ちの道具を駆使してシーバスをどう攻略するか?と言う、釣るまでの過程を重要視しています。(むかしは血眼になってサイズを探しておりましたが…)なんだかお題と違って説得力に欠けてしまいますが、私の中ではその延長線上に『サイズ』がございます」

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檜山「勿論サイズは大きいに越したことはありませんし引きも強いのでドキドキハラハラはたまりません。私なりの考察ですが、小さいサイズを丁寧に扱えば今後に繋がるに違いないと思っています。今はセイゴだけど10年後に90cmになるであろう、なってもらいたい。そんな気持ちです。

大きいサイズの数が減っている涸沼水系のシーバス。今期のこの連載中にもなかなか出ないかもしれませんが、狙って釣れなくても私なりのプロセスを記して行けたらなと思いますので緩い目で見ていただけたらと思います」

檜山さんのInstagramでは随時釣果をアップ中! おすすめルアーやアイテム、ランカーメソッドも呟いているかも!?


※本記事は”ルアーマガジンソルト”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。