
●文:ルアマガプラス編集部
アオリイカとは?
アオリイカは、ツツイカ目ヤリイカ科に分類されるイカの一種。胴の周囲全体を縁取るように半円形のヒレが付いており、このヒレが馬具の“障泥(あおり)”に似ていることからその名が付いたとされる。他のイカに比べて旨味成分であるアミノ酸の含有量が多く、ねっとりとした甘みのある食感から「イカの王様」と称され、食用としてとても価値が高い。引きも強く、釣りのターゲットとして絶大な人気を誇る。
釣って良し、食べて良しなアオリイカは釣りの人気ターゲット。
アオリイカの生態
日本各地の沿岸に分布し、とくに藻場や岩礁帯を好んで生息する。寿命は約1年で、春になると産卵のために浅場の藻場に集まる。産卵を終えた親イカは死んでしまうが、夏に孵化した子イカは急成長し、秋には釣りのターゲットとなるサイズになる。食性は肉食で、アジやイワシなどの小魚や、エビなどの甲殻類を捕食する。とても目が良く、動くものに強い興味を示す習性がある。
浅場の藻場はアオリイカが集まるポイントになる。
アオリイカの釣りシーズン
アオリイカは大きく分けて、春と秋の2つのシーズンがメインとなる。
春シーズン(3月~6月)
「親イカ」と呼ばれる大型個体を狙うシーズン。産卵を意識して浅場に寄ってくるため、1kgオーバー、時には3kgを超えるような大型のアオリイカが堤防や地磯から釣れるタイミングがある。一発大物を狙う釣り人にとっては最も熱い季節だ。
秋シーズン(9月~12月)
その年に生まれた「新子(しんこ)」を狙う数釣りのシーズン。コロッケサイズとも呼ばれる胴長10cm~20cmほどの若いイカが中心で、好奇心旺盛なため、初心者でも比較的簡単に釣果を上げることができる。秋はエギング入門に最適な時期と言える。
アオリイカの釣り方
大きく分けて、アオリイカの釣り方には、エギというルアーを使う「エギング」と、生きた小魚をエサにする「ヤエン釣り」がある。
ルアーフィッシングの『エギング』とエサを使う『ヤエン釣り』で狙えるアオリイカ。
エギング
エギと呼ばれる、エビや魚を模したルアーを使い、竿をしゃくり上げてエギを動かし、アオリイカを誘う釣り方。手軽さとゲーム性の高さから、現在最も人気のあるアオリイカ釣法である。
漁港や堤防などの釣り場からできるエギンガは、手軽さとゲーム性が高く非常に人気な釣り方だ。
仕掛け例
- ロッド: 8ft前後のエギング専用ロッド(ML~Mクラス)
- リール: 2500~3000番のスピニングリール(ハイギア推奨)
- ライン: PEライン 0.6~0.8号
- リーダー: フロロカーボン 1.75~2.5号(7lb~10lb)
- ルアー: エギ 2.5~3.5号(秋は2.5号~3.0号・春は3.0号~3.5号が基本)
- 接続: リーダーの先にスナップを付けることでエギを交換しやすくなる
エギング専用ロッドはシーバスやエサ釣りなどでも使いやすく、汎用性が高い。
ティップランエギング
ボートからアオリイカを狙うための専用釣法。通常のエギングよりも重いティップラン専用エギを使い、船の流れを利用して誘う。竿先(ティップ)が走る(ラン)ようなアタリを見て掛けていくゲーム性の高い釣りだ。地域によってはレッドモンスターと呼ばれる超大型のアオリイカを狙う船も少なくない。
仕掛け例
- ロッド: 6~7ftのティップラン専用ロッド
- リール: 2500~3000番のスピニングリール
- ライン: PEライン 0.4~0.6号(アタリを取りやすくするため細いものが良い)
- リーダー: フロロカーボン 1.75~2.5号(7lb~10lb)
- ルアー: ティップラン専用エギ(20g~30g程度)
- シンカー: 専用シンカーを着脱することで、潮の速さや水深に対応できる
ヤエン釣り
生きた小魚(主にアジ)を泳がせ、アオリイカがアジを抱いたらじっくりと手前まで引き寄せて、「ヤエン」と呼ばれる掛け針を投入する。道糸を伝うようにしてアオリイカの元へ到達したヤエンがアオリイカに引っ掛かる仕組みである。日本発祥の伝統的な釣法で、イカとの駆け引きが奥深く、熱中するファンが多い。
生きたアジを泳がせてアオリイカを狙うヤエン釣り。
仕掛け例
- ロッド: 磯竿 1.5~2号 5.0m前後
- リール: 2500~3000番のリアドラグ付きスピニングリール
- ライン: ナイロンライン/フロロカーボンライン 2~3号を150m以上
- エサ: 主に活きアジ(アジの鼻や尾に針を掛ける)
- ヤエン: 市販のヤエン
アオリイカの食べ方
「イカの王様」の名に恥じない、極上の味わいを持つ。新鮮なものほど美味しく、さまざまな調理法でその味を堪能できる。
刺身でも火を通しても絶品なアオリイカ。新鮮なアオリイカを食べられるのは釣り人の特権。
刺身
アオリイカの味を最も堪能できる食べ方。ねっとりとした食感と濃厚な甘みは絶品の一言だ。細く切ってイカソーメンにしたり、皮を炙って「焼霜造り」にしたりするのも良い。
天ぷら
刺身とは対照的に、加熱すると身が驚くほど柔らかくなる。サクッとした衣の中から、ふっくらとして甘みを増したアオリイカの身がとろけ出る。塩でシンプルにいただくのがおすすめである。
バター醤油炒め
ゲソやエンペラ(ヒレ)など、刺身では硬い部位も美味しく食べられる調理法。バターと醤油の香ばしい風味がアオリイカの旨味を引き立て、ご飯のおかずにも酒の肴にも最適だ。
一夜干し
開いたアオリイカを軽く塩水に漬け、一晩干すことで旨味が凝縮される。さっと炙って食べれば、生とはまた違った濃厚な味わいが楽しめる。日本酒との相性は抜群。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(アオリイカ)
1.アオリイカ 秋のアオリイカは、小さなイカ「新子」がメインターゲット。数が多く、初心者も釣れやすいのが魅力だ。潮通しのいい漁港や堤防が狙いやすい。藻場が絡む場所は一級ポイントだ。 使うのは、エビのよ[…]
最強のアピール力と圧倒的な飛距離をもつエギに3.0号が追加 まずLQダーターとマグQタングステンの特徴について教えてください。 池内「LQダーターはスライディングダートといって、前進を極力抑えて左右に[…]
ティップランエギングの必需品、エギ王TRシンカー エギ王TRシンカーは、エギのヘッド部分に装着することで、水深や潮流の変化に対応し、より効率的にイカにアプローチできる。また、キャスティング用のエギをテ[…]
好奇心&食欲旺盛な秋イカにスライディングダートと生命感のある輝きでアピール LQダーターに3.0号が追加ということだが、そもそもLQダーターとはどんなエギなのだろうか? 池内「LQはボディ内部が3Dレ[…]
池内 修次(いけうち・しゅうじ) 太平洋側にも日本海側にもアクセスしやすい京都府在住。年間通してアオリイカを追い続けるエギングのスペシャリストだ。中層のエギングを得意とし、釣り場で釣果と笑顔を絶やさな[…]
人気記事ランキング(全体)
釣り場での事故を未然に防ぐ。DAIWAから発売のTGロックショア ゴアテックスシューズ! 磯場や堤防など、釣り場によっては普通の靴では滑りやすいポイントがいくつも存在する。滑って頭を打ったり、転落して[…]
釣り人必携!極寒の磯で頼れる「超コンパクトバーナー」 釣りといえば、ロッドにリール、ルアー、クーラーボックス…と、装備がどうしても多くなりがち。だからこそ、「それ以外の荷物は極力コンパクトに」というの[…]
JBマスターズ最終戦優勝! 皆さんこんにちは! 河口湖ガイドのトミーです。 JBマスターズ最終戦DAIWA CUP 野尻湖戦で優勝する事ができました!! いつも応援してくださる皆さん、本当にありがとう[…]
Amazonプライム感謝祭 10月7日から10月10日まで開催される『Amazonプライム感謝祭』。さまざまな釣り用品が対象になっているので、ぜひチェックしてほしい。会場は以下のリンクから。 ここから[…]
1.レブロス 新型エアドライブローターとワイヤータイプのエアドライブベール、改良されたアームレバーでローターユニットの軽量化を実現。「2500S-XH」は210gで前作モデルよりも10グラム軽量化。さ[…]
最新の投稿記事(全体)
違和感を与えず魚にアピールできる「無音」 メジャークラフトからライトゲーム用ルアーとして「スティルシャッド」が登場。名前の「スティル」は“無音”という意味だ。 スティルシャッドはボディをワーム素材にす[…]
ビッグベイトを自在に持ち運べる。大容量ビッグギアバッグ! 近年、オカッパリでのビッグベイトゲームが盛り上がりを見せている。シーバス、ブラックバスなど狙えるターゲットも魅力的な魚だ。ビッグベイトで魚を釣[…]
バズるのも納得。釣具メーカーが本気で作った「シリコンポーチ」が、めちゃくちゃ便利だった話 「ドンキで見つけたけど、次行ったら売り切れてた」「買えなくて後悔した」といった声がSNSにたびたび上がる、ちょ[…]
ピースパッ!シザース VAAC-74(バリバス) 「切れる」を突き詰めた極細PE専用設計 最大の特徴は、通常切りにくい0.3号程度の極細PEラインを“噛み切る”のではなく、“断ち切る”カーブ刃形状。さ[…]
ワームを刺し込んで「Oリン具」をズラせば身切れ防止ワッキーの完成! Oリンガーの使い方はとても簡単。あらかじめ専用のOリングである『Oリン具』がセットされているOリンガーの開口部にワームを刺し込み、O[…]
- 1
- 2