
●文:ルアマガプラス編集部
イワナとは?
イワナは、サケ科イワナ属に分類される魚。日本の渓流魚としてはもっとも源流に近い、水温が夏でも15度以下の冷たい清流に生息する。「岩魚」と書く名の通り、岩の多い場所を好み、その陰に潜む習性を持つ。体には“白点”と呼ばれる白い斑点が散らばり、地域や個体によってその模様はさまざまに変化する。パーマークを持つヤマメやアマゴとは、この白点で容易に見分けることが可能だ。その精悍な顔つきと、警戒心の強さ、そして原生的な自然の奥深くに生息することから、多くの渓流釣り師にとって憧れの対象となっている。
美しい渓流に生息するイワナ。
イワナの生態
イワナはとても貪欲な肉食魚で、渓流に生息する水生昆虫や陸生昆虫、さらには小魚/カエル/サンショウウオまで捕食する。時にはヘビやネズミを捕食した例も報告されるほど、「渓流の王者」の名にふさわしい食性を持つ。普段は岩陰や淵の底に潜んでいるが、餌を見つけると素早く躍り出て捕らえる。産卵期は秋(10月~11月頃)で、オスとメスは川を遡上し、浅瀬の砂礫底に産卵床を作る。厳しい自然環境で生き抜くため、とても生命力が強く、その引きの強さも釣り人を魅了する一因だ。
イワナの釣りシーズン
イワナ釣りのシーズンは、多くの河川で漁業協同組合が定める解禁期間に準ずる。一般的に禁漁期間は産卵期にあたる秋から冬(10月頃~翌2月または3月頃)に設定されている。
イワナは岩や草陰、窪んだ地形に潜む。
春(解禁~5月)
3月頃の解禁当初は、まだ水温が低く、雪代(雪解け水)の影響で水量が多いこともある。イワナの活性は低いが、水温が安定しやすい淵や深みに定位していることが多い。桜が咲き、水生昆虫のハッチが活発になる4月下旬から5月にかけて、イワナの活性は徐々に高まり、本格的なシーズンへと突入する。
夏(6月~8月)
梅雨時期は水量が増え、イワナの活性がもっとも高まるハイシーズン。瀬にも積極的に出るようになり、活発にエサを追う。真夏になり水温が上がり過ぎると、より水温の低い支流や源流部へと移動する傾向がある。朝夕のマズメ時が狙い目となる。
秋(9月~禁漁まで)
産卵を意識したイワナが、越冬と繁殖のために体力を蓄えようと荒食いをするシーズン。大型の個体が狙えるチャンスでもあるが、婚姻色をまとった美しい魚体に出会えることもある。禁漁期間が迫るため、釣行の際は各漁協の規定を必ず確認する必要がある。
イワナの釣り方
渓流ミャク釣り
竿/糸/目印/オモリ/ハリというシンプルな仕掛けで、自然の川虫やイクラなどをエサにして釣る、日本古来の伝統的な釣法。イワナが潜んでいそうなポイントの上流に仕掛けを投入し、エサが自然に流れるように演出するのがコツだ。アタリは「ミャク」と呼ばれる手元に伝わる感触や、目印の動きでとる。
仕掛け例
- 竿:5.3m~6.1m程度の渓流竿(硬調または超硬調)
- 道糸:ナイロン 0.4号~0.8号
- 目印:ナイロンやPE素材の視認性の良いものを3~4個
- オモリ:ガン玉B~5B(流れの速さや水深によって調整)
- ハリス:道糸通しか、0.3号~0.6号を30cmほど接続
- ハリ:渓流バリ 6号~8号
- エサ:キンパクやヒラタなどの川虫/ブドウ虫/ミミズ/イクラ
ネイティブトラウト
ルアーやフライ(毛鉤)を使ってイワナを狙う、ゲーム性の高い釣法。キャストの正確性や、ルアー/フライを巧みに操るテクニックが求められる。岩陰や流れのヨレなど、ピンスポットを正確に狙うことが釣果に繋がる。
仕掛け例(ルアーフィッシング)
- ロッド:5フィート前後のトラウト用スピニングロッド(ウルトラライト~ライトアクション)
- リール:1000番~2000番クラスのスピニングリール(ハイギアモデルが有利)
- ライン:ナイロン 4lb~5lb、またはPE 0.6号+ショックリーダー 4lb
- ルアー:
- ミノー(4~6cm):シンキング/ヘビーシンキングタイプ。トゥイッチで誘う
- スピナー(2~4g):ただ巻きでブレードが回転し、広範囲にアピールできる
- スプーン(2~5g):流れの中でヒラヒラと舞い、弱った小魚を演出する
4~5cmのミノーや小さいスピナー、スプーンで狙うのもゲーム性が高く人気。
仕掛け例(フライフィッシング)
- ロッド:7~8フィート、#3~#4番のフライロッド
- リール:ロッドの番手に適合したフライリール
- ライン:WF(ウェイトフォワード)のフローティングライン
- リーダー/ティペット:5X~7X程度
- フライ(毛鉤):
- ドライフライ:エルクヘアカディス/パラシュートアダムスなど(水面に浮くタイプ)
- ニンフ:フェザントテイル/ヘアズイヤーなど(水中に沈むタイプ)
虫に模したフライで狙えるイワナ。
イワナの食べ方
イワナは清冽な水で育つため川魚特有の臭みが少なく、上品な味わいが特徴。さまざまな調理法で美味しく食べることができる。
臭みが少ないイワナは塩焼きや唐揚げなど、さまざまな料理で楽しめる。
塩焼き
イワナの食べ方としてもっともポピュラーで、そのものの味を堪能できる調理法。ヒレに飾り塩をして、炭火やグリルでじっくりと焼き上げる。パリッとした皮と、ふっくらと柔らかい白身は絶品。
唐揚げ
やや小ぶりのイワナは、頭から骨まで丸ごと食べられる唐揚げにするのがおすすめ。二度揚げすると骨までサクサクになる。塩コショウや醤油ベースの下味で楽しめる。
骨酒
焼き上げたイワナに熱燗を注いで作る骨酒は、釣り人ならではの贅沢な一品。イワナの香ばしい出汁が日本酒に溶け出し、体の芯から温まる深い味わいとなる。
刺身
寄生虫のリスクがあるため天然のイワナを生食することは推奨されないが、管理釣り場で釣れたものや、信頼できる養殖場のイワナであれば刺身で食べることも可能。締まった身の歯ごたえと、上品な甘みを楽しむことができる。
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