『攻撃的フィネス』用リグ6選大公開! これを覚えれば釣りが変わるかも!?【青木大介流フィネス物語3】



ワームと聞くと、“食わせの釣り”を想起することから「守り」「フォロー」「スローダウン」と、どちらかといえば消極的なイメージがつきまとう。だが、青木大介さんが繰り出す『攻撃的フィネス』は鍛え上げられた日本刀の如し。ダグラスレイクの快挙を今一度、本人の言葉で振り返りながら『速いフィネス』の真意を確認してみたい。今回は青木さんが実際に使用する攻撃的フィネスのリグを6つ大公開!

【Profile】

青木大介(あおき・だいすけ)

国内最高峰カテゴリー・JBトップ50プロシリーズにおける3度の年間優勝を筆頭に数々のビッグタイトルを獲得し、2019年よりアメリカB.A.S.S.トーナメントへの参戦を開始。今年4月、テネシー州ダグラスレイクで行なわれたサザンオープン第2戦で220名の頂点に立ち、2022年のワールドチャンピオンシップ『バスマスタークラシック』の切符を手に入れた。

青木大介流『速いフィネス』の基礎と実践

『速いフィネス』をこなす6つのリグ

――ダグラスレイク戦でメインに使ったのは4inヤマセンコーのジグヘッドワッキーだけれど、日本では5inスリムヤマセンコーを同様な役割の存在として起用していたと『ゲーリーつり部でシャキーン』に書かれていました。

青木「ええ、日本ではヤマセンコーのジグヘッドワッキーはほとんど使っていません。ちょっと強すぎるというか…感覚的にスリムヤマセンコーがちょうどよくて多用していましたね。実際、勝ったこともあります。(※2009年9月に行なわれたJBトップ50旧吉野川戦)」

――『速いフィネス』に使用するリグは、ほかにもあるのでしょうか?

青木「あります。ただ、ある程度のスピード感を持たせられることが前提なので、それほど多くはないですね。スモラバ、ジグヘッドワッキー、ネコリグ、ダウンショットリグ、ジグヘッドのミドスト、あとノーシンカーのi字系。探れるフィネスというのはそれくらいかな」

――その中からどれを取り出してラインに結ぶかというのは?

青木「その時々なので…具体的にこういう状況ならコレ、みたいなのは…経験的な部分が大きいス」

――でも、通していくレンジはそれぞれ違いますよね。

青木「うーん、そうですね、まあダウンショットとネコはボトムが多いかな…i字は完全に上(表層)。ほかは上以外いろいろ、中層からボトム付近まで対応しています」

――レンジ以外で起用する指針のようなものはありますか?

青木ノーシンカーのi字系に関しては春〜秋、ベイトフィッシュが浮いていて、水質がクリアな場所に限定されるかな」

ノーシンカーリグ:ヴィローラ2.8in(ディスタイル)

フックはT・N・Sオフセット#1(ハヤブサ)。他のリグが基本シェイク&リトリーブによるスイミングアクションで誘うのに対し、これだけはi字形のためストレートリトリーブ。必然的に表層を狙うことになる。

青木ミドストは基本クリア系で、水温が低くて横に動くベイトフィッシュを捕食している秋〜早春」

ジグヘッドリグ:ヴィローラ2.8in(ディスタイル)

ジグヘッドはワッキージグヘッドウィードレス(ジャッカル)でウエイトは1.3g以上をセレクト。使い方はいわゆるミドストだ。そのアクションイメージが、ここに揚げたノーシンカー以外のリグにも共通していると考えていい。

青木スモラバはオールシーズン、対応できる状況の幅も割りと広い」

スモラバ:Dジグ(ディスタイル)+ディトレーター(ゲーリーインターナショナル)/D1 2.2in(ディスタイル)

ウエイトは1.3g以上。トレーラーのベースはオールマイティに使えるD1だが、とくにエビを意識してボトム付近でのスイミングを多用するときはワームそのものの比重が高く全体重量が増すディトレーターをセットしている。

青木ジグヘッドワッキーはハイシーズンを中心に透明度の低いレイクで投入しますね」

ジグヘッドワッキーリグ:5in スリムヤマセンコー (ゲーリーインターナショナル)

ジグヘッドはエグジグワッキーヘッド(ジャクソン)で、ウエイトは3/64oz以上。状況によって波動を抑えたいときは4inカットテールワーム(ゲーリーインターナショナル)を使用することもある。

青木ネコリグはフォールが速くて浮き上がりにくいので、中層で使わないこともないけれどボトム付近」

ネコリグ/スナッグレスネコリグ:トルキーストレート (ディスタイル)

シンカーはスタジオ100のタングステンネイルシンカー(1.3g以上)。アクションを阻害しないよう、フックはワームプロテクトチューブを介してスリット部分にセットする。根がかりが頻発するならスナッグレスネコで対応。

ネコリグで使用するフックはフィネスワッキー(ハヤブサ)で、3.8inには#6、4.8inは#4、5.8inは#1/0を使用。スナッグレスネコの場合は、N・S・Sパーフェクション(ハヤブサ)で仕立てる。

青木ダウンショットもボトムが中心ですね」

ダウンショットリグ:2.5inレッグワーム (ゲーリーインターナショナル)

レングスは短いが強さを備えているので、『速いフィネス』に向いている。フックはD・A・Sオフセット#4(ハヤブサ)。タングステンドロップショットシンカー(スタジオ100)のウエイトは2.6g以上。リーダーは15cm程度だ。

青木「ネコとダウンショットはブレイクを狙っていくことが多いです。ジグヘッドワッキーと同様にネコはシーズンを問いませんが、ダウンショットについては単純に深いところを探るケースが多いので、秋〜冬といったところでしょうか」

――では、それぞれのリグを、バスにアピールする強さの順にランク付けをするならどうでしょう?

青木「一番強いのがジグヘッドワッキー、2番目がネコ、次いでスモラバ、ダウンショット、ミドスト、i字の順ですね」

――そうした目安と経験から、何を使うかを決めていくという。

青木「そうです」



ハードベイトの巻きと食わせの間に位置するもの

――では、いま挙げた『速いフィネス』で釣り進めていったうえで、次の展開として存在する食わせのフィネスというのは?

青木「う〜ん、そこは…日本にいた当時であれば、いろいろな引き出しがありましたけど、その時と比べるとアングラーもバスも進化していますからね…いまは0.2号PEで2inのワームを投げるとか、サイコロラバーとか。トーナメントで通用するレベルで考えたとき、僕が持っているのは最先端ではないし、自分自身が今、追求しているのはその部分ではないので、ぶっちゃけ、これがイイとは言い切れない。もちろん、日本ではその部分がとても大事なので、帰国してロケをする際は各地にいるディスタイルのプロスタッフから情報を収集して、まったく同じことを試すのではなく自分の引き出しにあるものをアレンジして突っ込んだりしていますけど(笑)」

――トーナメントでの食わせは、いわば究極的な世界ですからね。ちなみに青木さんは、日本でトップ50を戦っていたときに食わせの釣りからプラクティスを始めるケースもあったのでしょうか?

青木「いや、それはないですね。いきなりそこから入ってしまうと、魚の動きやポジションが見えなくなってしまう可能性がある。オフリミット期間中に変わってしまうこともあるし。だから逆に、プリプラクティスではあえて食わせまでは見つけないようにしていました」

――食わせだけだと、たしかに釣れるけれど、魚の状態や場所の良し悪しが分かりづらいという…。

青木「そうです。だから日本で、少なくともトーナメントにおいては、『速いフィネス』があって、そこを軸に強い方向に振るならハードベイトの巻き、逆なら食わせのフィネスにシフトするという考え方でしたね」

――なるほど。一般的には、ハードベイトの巻きがあって、食わせのスローダウンがある。でも、その間というのが…ない。

青木「まさにそこです。多くの人が、意識的に『速いフィネス』を実践したことがないんじゃないかな」

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