あの物陰を撃て! 黒田健史解説バス釣りシーン別カバー論【消波ブロック帯/その他人工物/シェード】

カバー攻略特集なのはわかったけど、カバーってどんなものがあるのかわからない? アシやブッシュって言葉は聞くけど、具体的なイメージがわかない? 大丈夫です。そんなカバー不慣れなアングラーのために、こんな企画をご用意! 古今東西のカバー(ここではスナッグレス性の高いルアーで狙いたいスポット全般と定義)の凡例をタイプごとに紹介し、プロアングラーからの解説コメントを紹介。カバー攻略の参考にして欲しい。今回は消波ブロック帯、その他人工物、シェードを解説していく。

●文:ルアーマガジン編集部

2024 シーバス特集

黒田健史(くろだ・けんし)

JBトップ50に参戦するプロアングラー。様々な釣りスタイルに精通する理論派で、氏の考えや戦略が綴られたブログ「黒田健史のいろはにほへと」は必見。

先日行われた弥栄湖戦では自身初となる優勝を達成。まさに脂の乗り切った実力派といえるだろう。当企画では黒田さんらしい、刺激的な持論を展開してくれた。


消波ブロック帯

定義:コンクリート製の巨大な人工物が沈められているエリア。

ブロックの形に注目!

黒田「ゴロゴロと沈められているのですが、実は形に意味があって、そこからその場所の状況を読み解くことができますよ」

黒田「丸っこい4本足の消波ブロックは水が大きく動くところに入っていることが多いタイプです。水深の深い場所に沈められていて、高く詰まれていることが多いですね。ひとつひとつが大きいため、ブロック同士の隙間が大きくて、中まで狙いやすいタイプです」 [写真タップで拡大]

黒田「角張った小型の消波ブロックは、水深が浅く、流れもそこまで強くない場所に入れられることが多いです。そのため、ボトムも泥底だったりします。浅いエリアに平面的に広がっているので、その中の張り出しにスピナーベイトを通したりしますね」 [写真タップで拡大]

編集部オススメルアー:スナッグレスネコリグ&スピナーベイト

穴の中を探るならネコリグで、張り出した部分を狙うならスピナーベイト!

その他人工物

定義:人工的に設置された様々なもの。

黒田「細かく分けると色々な種類に分かれる人工物ですが、総じて言えるのは変化が少ないということ。例えばウィードは冬になると枯れることがほとんどではありますが、人工物は1年中、変わらずそこにありますよね。だからこそ、いい場所が見え見えで、プレッシャーが高いという欠点があります。気候変化など、他の要素が絡まないと釣るのが難しい側面もあります」

橋脚

黒田「橋がかかっている場所は他の場所に比べて両岸が近くなって水面が狭い、つまり流れが発生しやすいエリアとなります。立木とかの自然物の縦ストラクチャーの場合、流れの中ではすぐに朽ちてしまいますが、橋脚は速い流れの中でも残り続ける縦ストラクチャー。自然界では起こり得ないことというのはこういうことです。狙いの中心は流れの巻く側。そこにシェードが絡むと最高ですね」

桟橋

黒田「釣りをしていいかどうかをまず注意する必要がありますが、桟橋は最も魚の集まるカバーだと思います。水中の構造物はヘラ台と似通っていますが、水面のすぐ近くに安定して濃い、巨大なシェードを形成するからです。レンタルボート屋さんの桟橋とか、大体デカい魚がいますよね。ただし、それだけ目立つ障害物ですので、プレッシャーも半端ないです。やはり流れが発生したりだとか、天気の変わり目だとか、何かしらの要素でスイッチが入らないと釣るのは難しいです」

船着き場

黒田「写真のような構造物だけ見るとヘラ台のあとと大きな違いはありませんが、その成り立ちに違いがあります。こういった場所って、ボトムに色々と沈んでいることが多いんです。写真を見てもタイヤが沈みかけていますが。特に捨て網はエビが付きやすいので狙いになることが多いですね。また、船が座礁しないように、深くなっていることが多いことも覚えておいてください」

水門

黒田「水が動いているのが理想的ですね。また、普段から水が動くということは、水深が深いことも多いです。時間帯によってシェードの位置が大きく変わるので注意が必要です。誰にでも分かるポイントなので、いれば簡単に釣れるわけではありません。食わせに強いルアーが有効なイメージです」

ヘラ台あと

黒田「ヘラブナ釣り師が作った釣座のあとですね。この中で言えば、手前の斜めに入ってる杭なんかはシェードができやすくて狙い目となります。またそもそもヘラブナ釣りはある程度の水深が欲しい釣りなので、ヘラ台がある場所はブレイクに近いことが多いです」

編集部オススメルアー:ネコリグ

カバーを回避しつつ、高い食わせ能力で狙おう。

黒田健史的王道カバー『シェード』

定義:陽の光が遮られることで発生する光量の少ない場所。日陰。

黒田「ここまでの各カバーに対するコメントの中にも出てきていると思いますが、自分にとって究極のカバーとはシェードだと思うんです。バスを始めとした魚類にはまぶたが無いわけですから、常に眩しい状態は避けたいんだと思います。シェードこそ究極であるという証明ですが、例えば杭というストラクチャーが本当に良いのなら、たくさん杭が入っている場所はみんないいことになりますが、魚のストックってそんなに多いイメージはないですよね? ところが、たくさん杭が入っているそのすぐ上が板で覆われている、つまり桟橋となると途端に魚が集まるわけです。両者の明確な違いってシェードですよね?」

『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報

ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!


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