秋の東京湾で人気のボートサワラ。身近な海で、しかもキャスティングで全長1mを超える魚が狙える。尾ビレの付け根をフィッシュグリップでつかみ、精悍な魚体を掲げる映える写真が撮りたい! というアナタ、遠藤キャプテンがイチから指南!遠藤「釣りとしても非常にエキサイティング。ぜひチャレンジしてください!」
●文:ルアーマガジンソルト編集部
遠藤 正明(えんどう・まさあき)
横浜港新山下を拠点にするガイド&チャーター船『アイランドクルーズ』のチーフキャプテン。シーバスをはじめ、青物、クロダイ、タイラバなど東京湾のボートルアーゲームを知り尽くす凄腕キャプテン兼アングラーだ。O.S.Pのチームオーシャンのメンバー。『アイランドクルーズ』の詳細はホームページを参照。
ミノーで誘い出して喰わせる! サワラゲームは、ルアー釣りの原点が楽しめる
近年、秋の東京湾でブームのサワラゲーム。以前は4年に一度湾内に入ってくるといわれていた魚が、ここ数年は毎年現れ、秋の定番の魚として釣れるようになっている。
このサワラゲームの先導役としてアングラーを楽しませているのが東京湾で操業している遊漁船で、ブームの火付け役の一人が横浜を拠点にするアイランドクルーズのキャプテン遠藤正明さんだ。
サワラってどんな魚?
遠藤「今年の秋もサワラが盛り上がってますね」
その魅力は?
遠藤「跳ねや鳥山を探して撃つハンティング的な楽しさや、僕の場合はミノーを使う。そのスタイルですよね。ミノーで誘い出して喰わせる。いかにもルアーフィッシングっぽいじゃないですか、ミノーの釣りって(笑)」
食いしん坊な取材陣としては、サワラはお刺身でも焼いても煮ても美味しい高級魚。西京焼き、いいっすね。そこも魅力です!
遠藤「お土産にも喜ばれますよね。ただ、いつも釣れるとは限らない。なんせサワラはツンデレなんで(笑)。船中で20尾も釣れる日もあれば」
ツンの日もある?
遠藤「跳ねはあるのにルアーにまったく反応しないとか。さて、今日はツンなのかデレの日なのか。まずは最近調子の良いエリアで跳ねや鳥山を探しに行きます」
遠藤さんが操るボートは、日の出前に横浜港新山下から出航した。
ミノーの速巻きやジャーキングでサワラにアピール!
遠藤「あっ、今、跳ねましたね」
実釣現場に着くと遠藤さんは早速、サワラを確認。さすが朝マヅメ、気配は濃厚だ。遠藤さんはシンキングミノーのルドラ130S(O.S.P)を投げて速巻き。速巻き中に時折ジャーク。ロッドを縦にあおって連続ジャークと、キャストを繰り出しながら様々なアクションを試すが反応はない。
なぜボートサワラでルドラ130S(O.S.P)は効くのか?
「速巻きの安定感とダートのキレが秀逸。釣れる雰囲気を持っています」
遠藤さんがボートサワラで愛用するミノーがルドラ130S(O.S.P)だ。
遠藤「オリジナルはバス用。コンセプトはただ巻きでもジャークでも使えるビッグミノーで、確か2007年にルドラ130SPを使って、僕がでかいシーバスをボコボコに釣った。その縁でソルト用に作ってもらったのがルドラ130Sです。それが2009年ですね」
もう10年以上、第一線で釣れ続けているわけですね。ほかのシンキングミノーと何が違うんですか?
遠藤「まず使い手側からみると、ウェイトがあるので飛距離が出ます。オリジナルのコンセプトを踏襲してジャークでキレ良くダートし、縦さばきのジャークでも水面に飛び出しにくい。速巻きでも泳ぎが破綻しにくいです」
サワラのミノーイングにぴったりですね。
遠藤「アクションはナチュラルかつハイピッチなロールで、魚からみるとフラットサイドのボディが放つフラッシングと波動。そこに何かがあるんだと思います。魚が好む雰囲気というか。真実は魚に聞かないとわかりませんが、ルドラシリーズのバス、シーバス、サワラ、青物など様々なターゲットにおける圧巻の実績が、それを物語っています」
遠藤「今朝は跳ねの数も少なめだな」
跳ねとは、文字どおりサワラが水面でジャンプすることだが、何のために跳ねているんです?
遠藤「サワラは体型を見ればお分かりのとおり、高速で直線的に泳ぐのが得意な魚。水面近くのベイトを突き上げて捕食して、その勢いのまま跳ねています」
なるほど。では、跳ねがあればサワラの活性は高い!
遠藤「狭い範囲で跳ねが集中するほど釣りやすいです。今朝は広い範囲で散発的な感じ。そういうときに有効なのが大型ミノーによる誘い出しなんです」
実釣で行なっているような速巻きやジャーキングで?
遠藤「そうなんですが…」
日が高くなりはじめるとその跳ねも沈静化。遠藤さんは仲間の船と情報を共有しながらボートを走らせ、跳ね、鳥山、潮目を効率良く探す。ナブラを発見するとルドラ130Sを投げて速巻き。イナダがヒット! 青物も秋の東京湾の好敵手だ。
ヒットルアー:ルドラ130S[アイクルオイリークリアベイトll PPC96](O.S.P)
遠藤「カタクチイワシなどベイトが大きいとサワラとイナダが一緒にいることがあります。シラスのときは、どちらかしかいない」
先ほどのナブラのベイトフィッシュは?
遠藤「シラスですね。カタクチは跳ねていないですから」
もしや、今日はツンの日?
遠藤「日中に釣りやすいのが潮変わりのタイミング。とくに干潮から上げで喰うことが多いです。今日の潮でいうと昼すぎにもう一度大きなチャンスがくるはずです」
コノシロパターンならシーバスとサワラのWランカー獲りも期待できる!
昼すぎ。遠藤さんの船は羽田沖周辺に居た。干潮から上げ潮が動きはじめると、ポツポツとサワラの跳ねが出るが、その様子は朝と同じく広範囲で散発的。その後も川崎沖や木更津沖などを走り回り、跳ねを見つけてはガンガン撃つが、釣果がなく沖上がりの時間を迎えてしまった。
遠藤「思いきりツンの日でしたねぇ。今日はウチ(アイランドクルーズ)の別の船で1m超の5.5kgが出ましたけど、仲間内でも釣れている船で1、2尾。ほんとサワラは気まぐれで、今日と同じような状況でも釣れるときはバタバタッと釣れますから!」
実釣ではミノーによるボートサワラの攻撃的なスタイルと釣り方をバッチリみせていただきました。秋が深まってくるとサワラは釣れますか?
遠藤「もちろん、釣れます。ただ、その頃になるとコノシロパターンがはじまって、シーバスのお客さんがメインになります。コノシロに付く3~5kgクラスのサワラが、シーバス狙いのゲストで釣れます」
11月に、サワラを専門で狙うには?
遠藤「チャーター船でご要望にお応えします。あと、そもそも今回使ったルドラ、ヴァルナはシーバスで抜群の実績を持つミノー。タックルもシーバスとサワラで同じものが使えます。シーバスとサワラの釣れるエリアが近ければ、リレーもできますからね」
ルドラに反応がないときはヴァルナ110Sの出番
遠藤さんが実釣中に使ったもう一つのミノーがヴァルナ110S(O.S.P)。
遠藤「アクションはハイピッチなローリングでルドラと似ていますが、フォールスピードがルドラより若干速い。基本的にはルドラで反応がないときにヴァルナを使います。レンジが自分の使用感でいうとルドラが水面下2mまで。ヴァルナはさらに50cmくらい深く入る。その差が釣果に出ることがあります」
せっかくの秋の東京湾。シーバスタックルでルドラとヴァルナを使い、ランカーシーバスを獲ってゲストにサワラ! 最高に楽しいボートゲームが楽しめるに違いない。
遠藤船長使用、サワラ用タックル
遠藤さんがサワラ狙いで使うロッドはボートシーバス用。
遠藤「パワーはMHクラス。ランカーシーバスに使う強めのロッドが向きます。レングスはアイクルでは7ft6inまで認めています。リールは4000番。サワラは速巻きをするのでハンドルひと巻き1m前後のハイギアがおすすめです」(※2021年時)
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