「エギ」と呼ばれる疑似餌を用いてアオリイカを狙うのがエギング。その手軽さと敷居の低さから初心者~上級者を含めて全国的に人気の高い釣りだ。本記事ではエギングに適した時期や狙うべきポイント、適正ロッドやリールについて解説しよう。
●文:ルアマガプラス編集部
そもそもエギングとは?
日本全国で人気が高いアオリイカ釣り。代表的な釣り方に疑似餌を使った『エギング』と、生きエサを使った『ヤエン』があるが、今回は初心者でも気軽にチャレンジできる『エギング』をフィーチャーしていく。
そもそも『エギング』という呼び名、元々は漁具として使われていた『餌木(えぎ)』をルアーのように使い始めたことが発端で、それを現代風に『餌木+ing=エギング』と呼ばれるようになったものだ。
漁具としての餌木は『イカを集める漁火の焼け落ちた松明の破片が水中に沈んでいく時に、イカが抱き着いた』のをヒントに作られたようだ。イカを釣るための木でできた餌だから、餌木という名前が付いたのだと思われる。
アオリイカが釣りやすい季節は「春と秋」
アオリイカはイカ類の中でも、比較的沿岸部に多く生息している。だからこそオカッパリ(岸釣り)からやるエギングの人気が高い。そして、オカッパリからもっとも釣りやすいのが『春と秋』の2シーズン。
その理由として、春は産卵が行われる沿岸部に近付きやすい季節であり、産卵を前に栄養を欲して荒食いをする。そして秋は、春に生まれた子イカがエサとなる小魚を積極的に追うサイズにまで成長。両時期ともにエギにも好反応を示す。
「春」のエギングは産卵前に接岸する大モノ釣り!
アオリイカの寿命は約1年と言われており、春に生まれて翌年の春には産卵行動を行えるまでの成熟した大型個体へと成長。沿岸部の藻場などに産卵するので、その周辺で大型の高活性イカが捕食を行い、エギにも積極的にアタック。
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春のイチオシポイントは「藻場」
アオリイカはアマモやカジメなどが群生する藻場に産卵しやすいので、春は特に期待が持てるポイント。ただ、エギが引っ掛かりやすいので、細心の注意が必要。
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「秋」のエギングは子イカ!
春に産卵~ふ化を経て成長したアオリイカの子供は、秋には『コロッケサイズ』と呼ばれるほどになり、群れを成して小魚を積極的に追い回す。好奇心旺盛な面もあり、釣り人から肉眼でも確認できる近場までエギを追う。
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流れに弱い子イカは港内に溜まる傾向に
春に生まれた子イカは遊泳力も低く、外洋に出ればあっという間に他の魚に食べられてしまうので、晩秋までは漁港内やワンドの奥など、守られた水域で過ごす。
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アオリイカのいる場所は「カケアガリ」「根周り」
では、オカッパリからどんな場所を狙えば良いのだろうか? どんな釣りでもそうだが、アオリイカも無暗やたらに投げても釣れない。基本的にはあらゆるルアーフィッシングのお約束とも言える『変化』が大事。
浅場と深場を最短距離でつなぐ『カケアガリ』や、変化の少ないサーフの中にポツポツと点在する『根周り』などが有望だ。
根周り
根周りはアオリイカ自身が身を隠しやすく、エサとなる小魚を待ち伏せするのはもちろん、天敵となる青物やシーバスなどの魚食魚から逃れるのにも最適な場所。サーフに点在するような根は可能性が高い。
カケアガリ
地形変化の代表的とも言えるカケアガリは、エサとなる小魚を追い詰めやすい場所。なおかつ明るい日中は深場で警戒し、暗くなればエサを獲りに浅場へ上がるといった、深場と浅場の往復も最短距離でできる。
さらに大きな規模で見るなら岬の先端、ワンドの奥などの『端や奥』を探っていくと良いだろう。
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エギングタックルはできるだけ専用のものを
タックルに関して、特にロッドはエギング専用モデルが望ましい。というのも、エギングはエギにアクションを伝える時の一連の動作が独特で、ロッドに対して瞬間的に大きな負荷が掛かることがある。仮にシーバスロッドやライトルアーゲーム用ロッドを使った場合、ロッドが曲がり過ぎてしまいエギに適切なアクションを伝えにくくなってしまう。
対してエギング専用ロッドは竿先から胴まで全体的に張りが強いので、強めにシャクってもエギにしっかりとアクションを伝えることができる。逆にエギングロッドは他の釣りにも転用しやすいので、1本あると何かと便利だ。
ロッドは8ft6inの長さが誰でも扱いやすい!
ロッドの長さはさまざまあるが、8ft6inが長過ぎず短過ぎずで扱いやすく、遠投もできるのでオススメ。ラインはPEラインの0.8号を基準に、荒れた場所ならば太く、飛距離が必要&イカの型が小さいなら細くと使い分けよう。
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エギの選び方
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エギングの核心・アオリイカの釣り方!!
そして、ここからがエギングの要となる、エギの動かし方。エギは一般的なルアーと違い、ただ巻きするだけではアクションせず、ひたすら『真っ直ぐ』進んでくるだけ。もちろんそれでも釣れるが、釣り人自らアクションを与えた方がイカからの注目度が増し、広範囲からイカが集まってくる。
しかし、エギがアクションしている時に、イカが食い付いてくることはほとんどない。イカからのアタリが集中するのは、エギが止まってフォール(沈む)している時。したがって『アクション→フォール』という一連の動作を繰り返すことで初めて、エギングは成立することになる。
エギをキャスト後、まずは着底させる
エギをキャストして着水したら、カウントしながら一度ボトムまで沈めて、おおよその水深をイメージ。そこからアクションさせて、アタリ棚を知るべし。
エギのアクションの基本
エギングのアクションには大まかに「シャクリ」と「ダート」の2種類。適度な動きをエギに与えることで、周辺のアオリイカの関心を集めることができる。
縦の動き:シャクリ
ロッドを縦方向に大きくシャクリ上げることでエギを瞬間的に上昇移動させ、アオリイカへと存在感をアピールする。3~4回連続でシャクリ上げた後に動きを止め、再びボトム付近までフォールさせるのが基本。
横の動き:ダート
ロッドを下方向に向けて、ルアーをトゥイッチ、もしくはジャークさせるようなアクションを付けて、エギを左右方向へと大きく跳ばしてアピール。何度か繰り返したら、やはりフォールさせて食わせる。
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エギのフォールの基本
アクションはあくまでイカを寄せるための挙動。うまくフォールを取り混ぜることで、イカがエギを抱くスキをつくるのが釣るためのコツ。
フリーフォール
ラインを張ることなく、エギに一切力を加えずにそのままフォールさせること。エギ本来の自然な沈下姿勢にアオリイカも食いつてきやすいが、ラインを張っていない分、アタリが非常に判りにくい。
テンションフォール
ラインテンションを張ったまま、エギを斜め下前方へとフォールさせるやり方。緩いカーブを描いて落ちるので『カーブフォール』とも言う。アタリが判りやすい反面、不自然なフォールにもなりやすい。
しかし、アオリイカの場合は前述のようにフォール中にエギに食い付くので、手元でアタリを感じにくいのはもちろん、竿先にさえもアタリが出ないことが多い。とても微妙なアオリイカのアタリだが、もっとも判りやすいのはPEラインの『動き』を観察すること。少しでもラインの動きに違和感があれば、とりあえずアワセてみよう。
アタリはラインが「プンッ!」と跳ね上がる
そもそもアオリイカは喰い付いてもその場から離れようとしない傾向があるので、アタリが出にくい。しかし、エギを抱え込んだ時や触れた時には微妙な動きがPEラインに伝わるので、「プンッ!」と跳ね上がる。これがアタリだ。
最初のうちは次のシャクリで乗ったでOK
ビギナーはもちろんベテランでも結構多いのが、アタリを感じられなくても次のシャクリが結果的にはフッキングとなり、アオリイカが『釣れてしまう』こと。慣れないうちは釣れれば結果オーライなので、徐々に精進しよう!
アオリイカとのファイトは意外とイージー!
微妙なアタリを獲り、フッキングが決まったらファイト開始! アオリイカとのファイトは壮絶……ではなく、どちらかと言えばイージーな方かもしれない。というのも、アオリイカは釣り人の引きに対して逆方向へと直線的に走るだけで、魚のように左右に動き回ったり根に潜ったりすることはないからだ。大型で遊泳力が強い個体でもドラグを調整してラインブレイクを防げば、想像以上にラクにイカは寄ってくる。落ち着いてやりとりしよう。
とにかくラインをたるませないのがキモ
綱引きのような一直線での引っ張り合いなので、力の加減さえ間違えなければラインが切れずにイカを寄せることはできる。ただ、エギのカンナにはカエシがないので、引っ張る力が緩むと外れてしまう可能性は高い。常にラインテンションを掛けてのファイトを心掛けよう。
ただし、ラインの許容以上の負荷が掛かれば当然のことながら切れてしまう。したがってアオリイカを狙う際はドラグを少し緩めておこう。
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エギングにあると便利なアイテム
水中まる見え! 見て釣るための【偏光グラス】
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