【わずか10分!?】水質悪化の合間を縫って巨大ブラックバスを釣り上げるプロの手腕

ムービー連動の連載『365daysフリースタイル』の第3回目、その舞台となったのは徳島県。奇しくも昨季シーズン1で訪れたエリアにして、釣行日程も天候もほぼ同様。賢明な読者の方ならご存知だが、そう、またしても大雨が…。嵐を呼ぶ男、奥田学。結果は如何に!

●文:ルアマガプラス編集部

奥田学
おくだ・まなぶ/ビッグベイトやジャイアントベイト、そしてアンブレラリグなどストロングスタイルを主軸に、現場最大級のバスを仕留め続けるMr.バンタム。愛称は“ロボ奥田”。直立不動で精密機械の如く狙った獲物を確実に仕留めるのがその名の由来だ。当連載ではバスのみならず、淡水海水の大物ゲームに挑む氏のフリースタイルをお届けしている。

『諦めるな、行動せよ』。ブレない軸、奥田バス道

絶望の淵に立たされた時、人は何を思うのか。
諦めか。

それとも常に脳裏に渦巻く不安に襲われ、挑むことすらままならぬ及び腰となるのか。

ネガティブな思考は凡そマイナスな結果を招く悪循環となるのが常だ。
だが、当連載の主、奥田学さんはどんな苦境に立たされようと、怯むことはない。

徳島県を流れる四国有数の大河川・那珂川を本流とする支流「桑野川」が今回の主な舞台。バスフィッシングでは主に阿南市内の流域を桑野川と捉える。河口堰は海から6キロほどで、下流域は海水も行き来する汽水のためシーバスやチヌなど海の魚も少なくない。現地入り初日は折しも線状降水帯の通過により日中は豪雨…夕刻には晴れるも濁流&激流に…

奥田「やってみな、わからんでしょ」。
もはや口癖とも言えるのが、冷静なトーンで語るこのフレーズ。
何時如何なる時も、恐れることなく前を向く。敵は天候ではない、己の中にあるのだということに気付かされる。

早朝、岐阜ベースを出発した奥田号は、上空の線状降水帯が猛威を振るう豪雨の中、本州から明石海峡大橋を渡り四国へと上陸。なおも勢力を強め続ける雨は、徳島県下のあらゆる川やリザーバーを濁流かつ激流へと変えていた。

昨季のほぼ同時期に訪れた山間部のリザーバーも視察。「あの時、なぜここだけ水が良かったのか。おそらく線状降水帯が反れて
ただけか…」。今回はジャストミートで漏れなく水質が悪化…。

奥田「想定内。本番は明日やね」

シーズン2・エピソード3の初日は、静かに幕を閉じたのだった。

ご当地グルメ1:中華そば 田村

旧吉野川の支流・今切川に至近、カフェを彷彿とさせる外観の人気徳島ラーメン店がこちら。「豪雨やからこそ、並ばずに入れたね。味? 行けば納得できるよ」。中華そばバラ肉+チャーシュー入り大(1250円)にご満悦。

「タイミングに合わせたルアー選択が最重要」

雨が止めば強い風が吹く。そして、増水・激流・濁流は付き物だ。河川やリザーバーの場合、雨後は
数日を空けて水質の回復を待つのがセオリーだろう。

だが、しかし、2日目。奥田さんがファーストエリアとして選んだのは、阿南市内を流れる桑野川の下流域だった。無論、タフ&ラフなコンディションは想定内だ。

上流から注がれ続ける強い流れに目を奪われる。だが、前日確認していたド茶濁りの上流域とは異なり、ここ下流域は白濁りこそあれど「まだマシ」。対して、風は川の流れを止める下流方向から吹き「良い状態ではない」という。

だが、奥田さんが怯むことはなかった。

奥田「川の状態が悪いとはいえ、時期的にポストで回復へと向かう魚も少なくない。フィネスで迎えにいくより、強い釣りで引っ張り出す方が断然効率いい」

タイミングに合わせたルアーセレクトが肝要だと奥田さんは説く。

奥田「何より桑野川には、数が少なく天才級ではあるものの、でかい魚がいることはわかっている」

ラインの先には『アーマジョイント190SF』、カラーは濁った水質でも膨張して目立つチャートホワイトを選択。濁りの表層、水面直下で滑らかなターンを見せながら軽快に泳ぐ姿が見える。

バンタム アーマジョイント190SF フラッシュブースト(シマノ)

●全長:190ミリ●重量:53グラム●タイプ:Slow Floating●カラー:全5色●価格:5280円(税込み)

投げて高精度、泳ぎは秀逸、そして最上級のフッキング率!

キャスト時はボディを折りたたみ高精度キャストを実現して、左右180度以上の可動域がよりスムーズなアクションを演出。またバイト時はボディが折れ曲がり、抜群のフッキング率を発揮するスグレモノ。全国どこへでも帯同する奥田さん信頼の逸品、通称「AJ」だ。

奥田さんは腹側全部に板オモリを追加。「足場が高い場所でも水面から飛び出すことなく、思い通りのコースを引ける」。超遠投した先でもアクションは自在かつ安定だ。

奥田「雨後で浮遊物が多いから、狙った場所へ真っ直ぐ飛んでくれるのも良いところやね」

ボディをくの字に曲げ、彼方の狙ったスポットへ弾丸シュート。高精度キャストを実現して、フックがゴミを拾うロスもない。

「あそこがどうしても気になる」。

沖へ、岸沿いへと数投の後、奥田さんはそこへと導かれていった。

ご当地グルメ2:海の駅 東洋町

ランチは徳島県に面した高知県の海岸沿いへ。店内で「かつおの雌節(=腹身)」を選び、お刺身加工&定食セットで何と750円の激安!「かつおのトロ! 他では食べれんね!」

不可能を可能にする比類なき読みと技

奥田「縦ストとか、水門のカレントで発生した反転流とか、次へ行くべき場所を考えていたけど、どうしても気になった」

その場で反応なく移動に心が揺らぐも「あの変化が気になる」の言葉と共に1投で劇的フィッシュ! 冷静と情熱の狭間、一縷の焦りもなく己を貫き、結果を叩き出す。それが奥田学という傑物だ。

実釣開始から10分に満たない、わずか数分で訪れたクライマックス! 絶望の前日譚から、一気に絶頂へと登り詰めた!

奥田「護岸の変化、ちょっとした張り出し。カレントが強いから、そんな場所に張り付くやろなと」

バイトは魅惑のターンを繰り返していた時のことだった。

奥田「ターンはリーリングの強弱。岸沿いでドッグウォークと瞬間的なステイを繰り返す複合リーリングで、泳いでいる時に来たね」

ここまで当連載で幾度もの見せ場を作ってきたアーマジョイント190SFが、つ・い・に!

奥田「徳島は釣れたら、50アップは間違いない!(笑) 諦めずに攻めて正解だったね!」

増える水、水質悪化、浮遊物が行く手を阻む

会心の1本を仕留めた後には、もう1チャンス。上流側へと歩を進めた水門周り、マッドライン境目で大型が猛然とアーマジョイント190SFに襲いかかるも、フッキングには至らず。

奥田「ここぞという場所に魚はおる。場を休ませて入り直そう」。

下流域から徐々に上流を目指す。

ところが各所の水況に、奥田さんは異変を感じる。
奥田「満潮から下げのタイミングなのに、増水し続けとる…。これは、おそらく河口堰を閉めたな」
増水と共に足場は減り、さらには水質も徐々に悪化傾向。日中は閉鎖水域で過ごした後、夕刻に再び桑野川へ戻るも状況はさらなる惨状となっていた…。

日中は閉鎖水域で骨休め「心が休まるわ〜(笑)」

状況が悪化し続ける河川から一時退避したのが閉鎖水域のため池。濁りの影響は少なくコンディション良好で、小バスの反応に癒される。奥田さんの友人、川渕忠将さんが現地へご案内。

「アキアカネって四国では5月から見かけますよ」と川渕さん。久々の山間部ため池を訪れた奥田さんは2つのルアーで爆釣を堪能。


奥田「朝のうちの下流域が最悪な状況の中でも一番マシだったてことやね。まぁ、自然には敵いませんわ」

そんな中でも的確に状況を読み、1ビッグを仕留めた奥田さん。

いつもながらの読みと技に感服だった。

ご当地グルメ3:大野海苔

徳島で見付けたら必ず購入するという、奥田さんの大好物。「普通の味付け海苔より濃くて食べ応え抜
群! お酒のアテに最高!」。スーパー等なら空港土産店よりお安く買えます。

使用タックル

上から

[ジジルプロップ/ネコリグ用]
●ロッド:バンタム274M+(シマノ)
●リール:ステラC3000XG +夢屋ハンドルノブEVAパワーラウンド型M(共にシマノ)
●ライン/リーダー:ピットブルG5スティールグレー1号(シマノ)/スーパートラウト アドバンス ビッグトラウト ショックリーダー10ポンド(バリバス)
[オープンエリア&遠投用・アーマジョイント/マッドバズ、リザードクローラーなど]
●ロッド:バンタム1711MH+ -SB/2(シマノ)
●リール:バンタムXG + 夢屋ウルトラストロングハンドル48ミリ BH-1(シマノ)
●ライン:アブソルートBBM25ポンド(バリバス)
[カバー絡み&ショートキャスト用・アーマジョイント/マッドバズなど]
●ロッド:ディスラプションBIG BAIT C610-XX(シマノ)
●リール:アンタレスDC MD XG + 夢屋ウルトラストロングハンドル48ミリ BH-1(共にシマノ)
●ライン:アブソルートAAA20ポンド(バリバス)


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