現在、釣人包丁「鯵切」という商品を企画中なのですが、そもそもなぜそんな包丁を販売しようかと思ったかと申しますと……。私が欲しかったからです。ああっ、石を投げないで!!


包丁なら堺

画像: 美味しく食べたいという気持ちがむくむくと……。

美味しく食べたいという気持ちがむくむくと……。

小生、ルアーマガジンソルト誌に配属されて以来、魚をさばく機会が多くなりました(特にアジ)。

こうなってくると、良い道具が欲しくなります。形から入るタイプですしね。

そこで包丁について調べてみることに。あれよこれよと勉強していくうちに、とある地域の包丁が良いというお話にたどりついたのです。

「洋刀なら関か燕三条。和包丁? なら堺打刃物やで」(有識者談)

……。関も燕三条も聞いたことあります。有名な産地ですよね。三田のほうも有名ですよねぇ。あ、堺か。堺も確かに有名だったな……(包丁素人)。でも、私、土佐っ子(エセ)ですから土佐包丁も裏切れないじゃないすか。

土佐の包丁は辿れば、堺の技術が元になっとる(元々土佐には刃物の製造文化がありましたが、太閤秀吉の時代に堺に集まった職人さんたちが、最先端の堺の技術を持ち帰り、地元に伝えたという説があります)。ちなみに堺の刃物作りは、特に包丁に特化してる。いろいろな包丁産地があるけど、質の良い和包丁が欲しいなら大阪・堺やで」(有識者談)

なぜ、堺の打刃物は質が良いのか

これを語る前に包丁ってそもそも、どんな工程で作られているか。ざっくり解説したいと思います。

いわゆるスーパーマーケットなどで大量に販売されている包丁というのは、包丁の素材となるステンレスや鋼、鉄などを張り合わせてプレス。抜き出した包丁型を研いで切れ味を出し、包丁として販売しています。単に張り合わせているだけや、ステンレスオンリーの素材のものもあります。

包丁は「」の質が大事。「鋼」が大事なのです。
なぜ包丁、特に魚を扱う包丁に「鋼」が大事なのかというカラクリについては追って解説いたします。

今回、釣り人包丁として企画した「鯵切」は、職人が鉄と鋼を赤めて「打った」いわゆる「本物」の打刃物になります。

ちなみに、堺の打刃物は「包丁作り」に特化した製法と言われ、プロの料理人たちが特に贔屓にする包丁産地です。プロがこぞって求めることもあり、一般の家庭に出回りにくいのもこの産地の特徴でもあったりします。

一般に出回ることが少ないため(汎用品は別)、販売価格が想定定価の2倍~3倍はおろか10倍にまで膨れ上がることもザラだとか。20万とか30万とかになっちゃうコトも、ちなみに今回お世話になった銘柄の汎用包丁(プレス打ち抜き仕様)は、某大手通販価格2万円後半だそうです。

画像: 一番、大事なのは?「赤める時の炉の温度」。 どうやって測っているのですか?「目で見て。これが大事。学者が言う最適な温度(諸々)って、案外アテにならへんねん。経験と職人の肌感がめちゃくちゃ大事」 取材中のやりとりの一部。あぁ、もっと紹介したい!

一番、大事なのは?「赤める時の炉の温度」。
どうやって測っているのですか?「目で見て。これが大事。学者が言う最適な温度(諸々)って、案外アテにならへんねん。経験と職人の肌感がめちゃくちゃ大事」
取材中のやりとりの一部。あぁ、もっと紹介したい!

画像: 今回企画した包丁の製造工程簡略。左から、鉄(本体)と鋼(刃の部分)をあわせて赤めて接着して打ち込み、柄をつくって形を整えて包丁の形に。そこから冷間鍛造で鍛えて、和包丁の形に。右端の状態で研屋に持ち込まれまする。詳しい話はまたの機会に。

今回企画した包丁の製造工程簡略。左から、鉄(本体)と鋼(刃の部分)をあわせて赤めて接着して打ち込み、柄をつくって形を整えて包丁の形に。そこから冷間鍛造で鍛えて、和包丁の形に。右端の状態で研屋に持ち込まれまする。詳しい話はまたの機会に。

工程ごとに分業しているからこそ高度な業が守られている

高品質である理由のひとつに、その工程がそれぞれ専門の職人により分業されているのも堺打刃物の特徴でしょう。赤め、打ちなどを行う鍛冶専門。研ぎのみを行う研屋柄の拵えだけを行う職人。そして包丁に銘などを刻む彫り師。それぞれスペシャリストが丹念に仕事をこなして作り上がる包丁なのです。

今回の釣人包丁「鯵切」は正真正銘、堺のそれぞれのスペシャリストに仕事をしていただいて出来上がった包丁なのです。

正真正銘と敢えて言わせていただいたのは、堺の包丁の中にも、研ぎだけを行って堺打刃物を名乗るもの、別の産地の鍛冶から仕入れたものを仕立て上げるものもあります。それらが準純正と呼ぶならば、まさに今回の包丁は「堺打刃物・純正」です(笑)。

画像: 10年でようやく一人前。 30年以上のキャリアを持つ研ぎ師が最高の仕上げをしてこそ、堺打刃物。 もちろん鯵切も。

10年でようやく一人前。
30年以上のキャリアを持つ研ぎ師が最高の仕上げをしてこそ、堺打刃物。
もちろん鯵切も。

今回、堺打刃物のオリジナル包丁の製作を取りまとめてくれたのは源正守さんという包丁の老舗メーカー。そこで、包丁の髄まで知り尽くした奥田さんが、こちらの要望を聞いてデザインしてくれたのが今回の「鯵切」です。

釣り人のための、一生に一本の包丁を作りたい

編集「今回お願いしたいのは釣り人に愛用してほしい鯵切包丁なんですが、釣り人って、ものすごく道具にこだわるんです。本物の道具を手に入れたら、大事に長く使ってくれる。そういう人種なんですよ」

源正守「あのな。鯵切包丁ってのは本来ナイフくらいの刃渡りの小出刃みたいな包丁や。それで出してもいいねんんけど、そんな包丁に普通の人はそこそこの値段ださへんやろ。実は大きい包丁も小さい包丁も作る手間は同じやねん。でも、小さいってだけで値段つけにくいねんや。だから、そういう小さな包丁で打刃物は作ることはあまりない。職人さんたちにも仕事として出しにくいんやなぁ」

編集「アジを釣ってくるとだいたいアベレージは20cm前後。だからそのサイズは捌きやすくなければいけないかなと思ってます。でも、釣り人ってやっぱりアジを釣ってて少し大きめのサバを釣ったり、たまにはカツオやブリなんかも釣ってきたりする人もいますから、少し大きめの魚も快適に捌ける汎用性をもたせたりしたいんですが……」

源正守「ちょい、任せてくれへんか。いい形、考えるわ」



ということで、堺打刃物でも唯一無二な包丁の開発がスタートしました。

画像: これは柳刃包丁。 どうして刺し身を着るのに柳刃包丁が良いのかということも知れば、なるほどなるほどと思ってしまいます。 ちなみに、包丁の刃は細かいノコギリ状になっており、この形状がキモ。鋼を使う理由などもここにあったりします。 組織を潰さずに切断するための包丁の「構造」についても知ると、ちょっと震えます。日本の包丁スゲー!って。

これは柳刃包丁。
どうして刺し身を着るのに柳刃包丁が良いのかということも知れば、なるほどなるほどと思ってしまいます。
ちなみに、包丁の刃は細かいノコギリ状になっており、この形状がキモ。鋼を使う理由などもここにあったりします。
組織を潰さずに切断するための包丁の「構造」についても知ると、ちょっと震えます。日本の包丁スゲー!って。

今回の包丁、小社の商品企画のプロモーションでもあるんですが、そんなことよりも、職人の手によって作られる本物の道具っていうのがどんなに素晴らしいか。それをこの機会に釣り人の皆さんに知ってもらえればと思っているんです。

良い包丁で魚を捌いて調理すると、どれだけ美味しくなるのかを実感してもらうための機会になればと思っています。

販売用の包丁は既に完成しており、初回販売本数50本が鍛えられて研ぎ待ち。サービスで名前を彫る予定になっております。

源正守「日本の食文化ってすごいねんで。魚の種類だけ包丁があってもいい。既に、いろんな種類の専用の包丁はあるんやけどな。タコ専用だとか、ドジョウさばくためだけの包丁なんてのもある。鯵切もそうやけど、ほんまに魚の種類毎、包丁の種類ごとに拘りがあるんや。でもな、こういった文化って、滅びの文化なんや。こういうことを理解して道具を作ったり、使ってくれる人が減ってるねん」

良いものは知ってもらえればちゃんと生き残れる

最後に奥田さんが言った「滅びの文化」ってキーワードにひっかかりを覚えました。すごいこだわりをもった道具を作る技術が年々失われつつあるという現実は確かにあります。そんな話を散りばめながら、個人的にはそういった文化を知って、共感し、携わる職人さんの価値を正当に評価してもらえるように高められないかと考えています。

出回る商品数が少なく、商品価値が高いことから、バイヤーによって値段はつりあがるブランドの包丁ですが、それが職人集団に還元されるシステムでは現時点ではありません。それ自体は致し方ない部分はあるのですが…。

これから何回かに分けて、堺打刃物という包丁ブランドから知る、日本の匠の技をお伝えできればと考えています。先にも言いましたが、釣り人って「良い道具」を認めてくれる皆さんです。そして、最高の食材を手にする機会の多いみなさんです。

堺包丁の良さをガチで語ります。ある意味、そのついでに、今回の包丁のプレゼンをさせていただきますので、心に刺さりましたらぜひとも「釣人包丁・鯵切」をお買い求めください。2月20日に小社サイトにて受注開始の予定です。それまでは、少々暑苦しい、包丁小話にお付き合いいただければ幸いです。

仕上がった包丁をお届けしやすい価格で販売予定です

こちらが販売予定の鯵切り包丁のプロト。完成品をいただいて思わず声が出てしまいました。そそられる出来栄えじゃないかと思いません?

画像: まさに「一生に一本の包丁」という仕上がりです。

まさに「一生に一本の包丁」という仕上がりです。

源正守は刻印に。これにサービスで名前を彫ることも可能。柄は水牛と朴の木です。

注文開始は2月20日より内外出版社の販売サイトにて限定50本。お届けは3月下旬から4月上旬予定。桐箱入でお送りいたします。

価格はまだ未定ですが約35,000円ほどでご提供できるように調整中です。お高いでしょうか。いや確かにあんまり包丁にかけられる予算感ではないですね(笑)。でも、この包丁ご紹介シリーズを読んでいただければ、あっ、それもありかも……って感じてもらえるんじゃないかと思います。ぶっちゃけ本来ならこの値段で買える包丁ではございませぬ……。

なお和包丁なので右利き専用ですが、左利きも誂えることができるかなどの調整中です。ただし左利きは1.5倍ほどの値段になってしまいます。


釣人包丁「鯵切」シリーズこちらから

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