今回のテーマ アシ・ガマ(その2)
前回はアシとガマを見分けられれば、その場所のおおよその水深が分かるというお話をさせて頂きました。
前回はこちら↓
今回は少し掘り下げて「アシ」に関するお話をさせて頂きます。
アシ?ヨシ?
バスフィッシングでお馴染みの植物「アシ」。水辺に多く生えており、時には水中からも生えている事から“抽水植物”と呼ばれたりもしています。
でも実は「アシ」というのは通称。
図鑑等に記載される正しい(?)名前である”標準和名”では「ヨシ」という名前なのです。知ってた?
秋になるとこのように穂が出来ます。ちなみに冬には枯れてしまいますが、春にはまた生えてきます。1年で3メートル近くも伸び、特に5~7月には釣り場の様子が変わる程成長します。
アシ原は生き物のパラダイス!!
アシ原には、アブラムシやガの幼虫(要するに毛虫)やアマガエルなど、バスのベイトとなり得る、あるいは関わりのある生物がたくさん生息しています。アシが生えている水際は実はフィーディングスポットかも??
そう言えば、初夏のアシ原付近で釣りをしていると「ギョギョシーギョギョシー」というけたたましい声を聞く事があるかと思います。この鳴声の正体は「オオヨシキリ」というスズメの仲間の鳥。アシ原の中で巣を作る鳥なんです。彼らもまた、アシ原に生息している虫などを食べて生活しています。

このように、枯れたアシの背の高い茎にとまってさえずっている事が多いです。釣りに飽きたら(?)探してみて下さい。
アシ際を「バックスライド」で狙うわけ
いきなりゴリゴリのバスフィッシングネタに変わります。バックスライドセッティングのワームでアシの根元を狙うというシチュエーションがあるかと思います。
そしてここでよく聞くのが「アシ際のエグレ」。本当にあるんかいな?と、疑ってかかる人もいるかもしれませんがこのエグレ、アシの生態によって本当に出来ているんです。
実はアシ、地中に地下茎と呼ばれる根っこの様な茎を伸ばして広がって行きます。

一見別個体でも地下でつながっているかも・・・
これが幾度も繰り返されてアシ同士の密度が増してくると、地中はアシの地下茎(と根っこ)だらけ!

複雑です。
すると、地下茎のある部分は紐が編み込まれて地面のようになるのですが、そこが水辺に面していると・・・

ちょっとイラストは極端ですが、こんな感じです。
といった具合に地下茎の無い部分が水で削られて、エグレが生まれるんです!場合によっては浮島状になる事もあるようです。
エグレはドコ?
そのエグレがどこにでもあるのかと言うと、そんなことはありません。アシ際からボトムがなだらかに続いている場所もあれば、矢板が入っていて垂直な壁になっている場合もあります。
ではどうやって見つければいいのか。キーワードは“密集”と“水際の形”です。
密集

わっさわっさ生えています。
先に説明したとおり、エグレが生まれるためにはしっかりとした地面が必要となります。つまり、アシがたくさん生えていないといけないのです。
逆に言えば、アシがパラパラと生えている水面はなだらかなボトムである(しかも浅い)とも予測できるわけです。
水際の形

エグレていない例。ガマも一緒に生えていますが、水際がピシッと揃っているのがわかるかと思います。
密集しているアシ原を見つけたからと言って油断してはいけません。もしそのアシ原が直線状に続いている場合、その根元はえぐれておらず、垂直かもしれません。
詳しくはこの連載でそのうち紹介しますが、その場所は人の手が加えられ、岸際が極端に浅くなっている場所である可能性が高いのです。

エグレているかもしれない例。水際がデコボコしているのがわかるかと思います。
逆に水際が複雑にジグザグしている場合、そこはえぐれている可能性も高いのです。加えて言えば、水の流れが当たりやすければ削れやすいのでさらに可能性は高くなりますね。
つまりどういうことよ!?
今回は・・・
・アシ際は水中のみならず、陸上からも餌となる生物を供給してくれる場所である。
・アシ際の狙いどころとなる「エグレ」は、“密集”したアシが複雑な“水際の形”を持つアシ際にあるかもしれない。
というお話でした。
どうです?ちょっと賢くなった気がしませんか?
次回はもう一歩踏み込んだガマのお話です↓
※この連載は福重の経験を元に書いております。相手は自然。全てが書かれている通りであるとは限りません…。