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メガバス伊東由樹の『クランクベイト理論とZクランクの歴史』 オーパーツへの回帰と進化でZクランクが止まらない!

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2021.03.04

創業以来、30年以上にわたりルアーフィッシング業界の最先端を走り続けるメガバス。自社製造を行うルアーメーカーとしては国内外有数の歴史を誇り、その蓄積されたノウハウも世界随一。そんなメガバス&アイティオーグループを一代にして築き上げた社長であり、デザイナーであり、アングラーでもある伊東由樹さんに、メガバス製品が釣れる仕組みや理論、名作ルアーの誕生秘話や歴史など、様々なことを語っていただく大型連載です。


【Profile】

伊東由樹
いとうゆき/メガバスを創業し、名作中の名作ルアーをいくつも生み出した天才デザイナー。(財)ジャパングッドデザインアワードでは、200作品を超えるアワード受賞作品をプロデュースするフィッシング/スポーツ用品カテゴリー最多受賞デザイナー。国際的に最も権威と歴史あるIFデザインアワード(ドイツ・ハノーバー)では、日本人初の快挙となる2018-2020年の3年連続受賞デザイナーとして名を馳せる。
漁師町に育つことで体得した「魚を捕る」ことへの深い造詣が融合するアイテムはどれも時代の最先端であり伝統的。もちろん、アングラーとしての腕前も超一流。

前回(第1回)はコチラから

時代の先取り

そのはじまりと『Z』に込められた思い

数多くの種類が存在するバスフィッシング用のルアー。

狙いたい水深や素材そのものの違いなどが性能に影響を与えやすいため、クランクベイトは、ルアーの中でもとりわけ種類が多くなりがちなタイプと言えるかも知れない。

遡ること34年前。

メガバスはそんなクランクベイトを皮切りに、プラグ製造という長きに渡る道を歩みだしたのだ。

伊東「ロッドの『アームズ』やスピナーベイトの『Vフラット』を製造するかたわら、新しくはじめたプロダクツが『Zクランク』でした。そしてこれこそが、メガバスにとっての初めてのプラグとなりました」

初のルアーがクランクベイトである理由。

それは決して特別なことではなかったという。

伊東「Vフラットと同じですね。自分自身が一番使いたいルアーがクランクベイトだった。ほぼ1年中使えますからね」

ところで当時の国内におけるルアー作りといえばハンドメイドが主流。

バルサ50やズイールのトップウォータープラグ、ハンクルやマロルアーのミノーが人気の時代だ。

しかしながら、伊東さんはクランクベイトを選んだのだ。

伊東「求めていたのは、トップウォーターを使った楽しむ釣りではなく、飾って美しいミノーを使う釣りでもなかったんです。自分にとっては何よりも釣れることが優先事項でした」

美しい造詣や革新的なトップウォーターなど、メガバスが後にそれらの部分でも高く評価され、時代の最先端を駆け抜けていくことになるとは当時の伊東さんは想像もしなかったに違いない。

何故なら…。

伊東「もともとルアーを作って販売するつもりはなかったんです(笑)。アームズを削って売って、自分で使って釣れるVフラットとクランクベイトがあればよかった。だからZクランクと名前をつけたんです」

アルファベットの最後の文字である『Z』を冠したクランクベイト。

これこそが、最初で最後のメガバス製ルアーになるはずだったのだ。

Zクランクはもはやオーパーツ!?

そんなメガバス初のプラグとなる『Zクランク』だが、そのビジュアルを現在のバスアングラーが見たらどう思うだろうか?

おそらく、口を揃えてシャッドと答えるに違いない。

伊東「でも当時はまだシャッドプラグという概念が無い時代です(笑)。ベイトフィッシュらしいシルエットや、狙いたい潜航深度を考えてこの形状に行き着いたんです」

言わば必然の形だったわけである。

そしてシャッドといえば、近代バスフィッシングにおける1年中釣れるハードルアーの筆頭株。

伊東さんが思い描き、実際にZクランクに与えた性能・形状は、当時としては異質中の異質。もはやオーパーツとすら呼べてしまうかも知れない。

伊東「実際、なかなかあの頃は理解しもらえななかったですね。ですがプロトタイプから新利根川や印旛沼、常陸利根川なんかで爆釣。製品版となってからも、水郷地域で開催されていたトーナメントのスタッフ兼選手で出場して遅いフライトなのに一番にリミットメイクしたりと釣れまくりでした。そんな釣果が口コミで話題になって、トーナメントに出られる方のシークレットルアーになっていたそうです」

とは言え多くのアングラーにとってZクランクはスポンサー外のルアー。大々的に凄さが伝わる機会は少なかったという。しかしそれでもその人気は全国各地に伝播していったのだ。

伊東「専門用語もほとんど無かった時代でしたから、そもそも説明が大変でした。『Zクランクには重心移動が入っていて、ボトムで障害物にコンタクトすると重心となっているウェイトボールが動くことでヒラを打ったりフラッタリングをすることで喰わせのきっかけをつくります』。という内容を伝えるのさえも難しかったんです」

なんと言っても30年以上も昔の話なのだ。しかしその頃から伊東さんを始め、村田基さんや田辺哲男さんなど、レジェンドアングラーによって専門用語が次々に生み出されていったという。しかしこれはまた別の話。

それにしても驚かされるのは、Zクランクの構造だ。

言わばバスフィッシングの黎明期に、すでに重心移動、それもアクションに影響を与える設計を施していたのだ。

伊東「リトリーブ時のアクションの支点となる位置から、背中方向にウェイトボールが移動できるように穴が通っていたんです。もちろん、ロングキャストできるように、テール側に重心が移動するバージョンもありましたよ」

つまり、同じZクランクでも、重心移動の異なるモデルがあったのだ。

しかし、Zクランクのレパートリーはこれだけにとどまらない。

伊東「ボディはそのままでもリップにもタイプがありました。ロッドワークにも応えてトップウォーター的にも使えるタイプ1、ベーシックな潜航深度でスローリトリーブでもボトムを引きやすいタイプ2、当時としては異例の4m以上潜るタイプ3です」

そう。まるでシステムクランクなのだ。

しかし当時はまだシステムクランクという言葉は存在していない。

それでも伊東さんは、生まれ育った環境が故の子供の頃から培ってきたセンスと、それまでに得た釣りの経験を元に、いくつもの『Zクランク』をその手で生み出していったのだ。

当時の広告にも3タイプが記載されている。ちなみにこの広告、デザインからルアーの撮影、文章、写植まで全てを伊東さんが行っていたとか。

MAX月産750個! 圧倒的な手間ひまでルアーを作り続ける生活

画期的な構造やラインナップで世間を賑わしていた『Zクランク』だが、唯一とも言える欠点があった。

それが製造にかかる手間と時間だ。

伊東「ハンドメイドでしたからね。品川の大井町にいた頃に作り始めて、ディープXの開発に取り掛かる頃まで作っていましたが、それまでずっと月に750個はZクランクを制作して納品していたともいます」

それだけの労力があれば、インジェクションプラグなら5000個は作れるという。

伊東「浜北で作っていた頃はガレージの軒先を借りて作っていたのですが、雨の時は上にビニールシートをはったり、それでも湿度で塗装がうまくいかなかったりと苦労しましたよ。特に大変なのがシーリング、つまり目止めですね」

Zクランクは制作時期によってバルサ、ジェルトンウッド、カツラと異なる素材を使用してはいるものの、共通して木製素材を使用している。

そのため、特に処理をせずにルアーとして使うと水が染み込んでしまい、強度の低下やアクションの安定が保てない。

そこで必要となるのが、木材に水が染み込まないようにしつつ強度を上げていく作業なのだ。

伊東「溶剤に浸けて乾かしてサンディング。これをひたすら繰り返すことになります。溶剤を適度に浸透させるための浸け時間も繊細ですし、それによって生じた気泡をサンディングして均すというのを繰り返すのも非常に根気がいる作業です。Zクランクが1つ完成するのに要する時間はおよそ27日なのですが、そのうちの実に20日はこの作業にあてていました」

しかも同時にVフラットやアームズを製造し、釣り具屋への営業を行い、時には実釣取材にも応じる。

恐るべき作業量だったのだ。

初代Zクランクのリップには、ドブ漬けでコーティングしていた痕跡が残されている。

伊東「あまりにも大変だったので、母がルアーの目玉を貼ってくれたりもしていましたよ(笑)。ちなみに完成後にも大変な作業が残っていて、それが近くの野池に行って行う、全てのルアーのアイチューンです。Zクランクはロール主体のアクションでトゥルーチューンも非常に難しいのですが、うまく泳いだ時は釣果という歴然とした結果がついてきます。それを何百、何千と繰り返すわけですから、釣れるルアーと釣れないルアーの違いというものが段々とわかるようになりましたよね」

なお、トゥルーチューン後には全てのルアーを洗浄する必要があり、これも大変だったとか。

最終的には、静岡の小豆餅に工場を設立し、様々なメーカーのOEMやベイトXなどでプラスチックインジェクションを行いつつも、伊東さんはウッド製ハンドメイドルアーを作り続けたのだった。

伊東「決して当時に戻りたいとは思いません(笑)。でも間違いなく、今のメガバスの基礎になっていると思いますね」

30年以上前はまだ、腰を据えてバスルアーを取り扱っているメーカーは無かったという。

さらにルアーメーカーそのものの肩身も狭く、時には「魚のオモチャを作っている会社」などと揶揄されることもあった。

だからこそ、伊東さんはルアーメーカーとしてやっていけるはずがない、と思い、『Zクランク』という名前をつけたのだ。

しかしその予想がことごとく覆されたことは、今日のメガバスを見れば疑う余地もない。

最後となるはずだった『Z』は礎となり、今のメガバスに確かにつながっていたのだ。

Zクランクの系譜

1987年:Zクランク

Zクランク(前期型)。

記念すべきメガバス初の量産プラグがこの『Zクランク』。
トゥルーチューンが出にくいものの、アクション軸と合致した低重心により、ハイピッチロールアクションを披露。

プロトモデルの際は素材にバルサを使用していたためハイピッチアクションという武器を持っていたが、耐久性に難ありということで製品版はジェルトンウッドを採用。

浮力は下がったものの、逆に浮き上がりにくさが武器となり、低水温期や高プレッシャー時によりスローに攻められる利点を獲得。今で言うサスペンディングシャッド的な使用方法で、多くのトーナメンターがシークレットウェポン的に導入したとか。

1990年からはそのトーナメント指向を反映し、素材をより比重の低い北海道産カツラに変更した。

Zクランク(後期型)。

前期型(写真下)と後期型(写真上)はアイの位置などで見分けることが可能。

1990年:マジカルZ

全身がラメに覆われたダズラー塗装が施された『Zクランク』。

反射によるアピール、つまり今で言うフラッシングを意識したカラーではあったが、その実態はただのバリエーションではなく、塗装によってより浮力を抑えたマイナーチェンジ版。

オリジナルモデルよりもよりスローなアプローチを可能としているのである。

2006年:Zクランク&Jr.(レッドレーベル/ブルーレーベル)

上:Zクランク レッドレーベル(2006年)/下:ZクランクJr. レッドレーベル(2007年)。
上:Zクランク ブルーレーベル(2006年)/下:ZクランクJr. ブルーレーベル(2007年)。

復刻を望む声が多かったZクランクであったが、伊東さんの同じ料理を2度も作りたくない論(笑)と、よりユニバーサルにするべく現代風にガラリと姿を変えて復刻したZクランク。

クランクベイトの王道とも言えるボディデザインに、メガバスならではの美しい塗装がよく映える。

初代Zクランクのプロトモデルにあったバルサ素材を生かしたハイピッチモデル(ブルーレーベル)と、後期の浮力を抑えたウッド素材(レッドレーベル)の2種類を同時展開するという画期的な試みも話題となった。

2007年には両方のダウンサイジング版もリリースされている。

2007年:Zクランク レッドレーベルカバーハッキング&Jr.

上:Zクランク レッドレーベルカバーハッキング / Zクランク レッドレーベルカバーハッキングJr.

ただでさえスナッグレス性能の高いクランクベイトに、高弾性バンパーガードを搭載させた意欲作。

ベリーのフックをリップが前方向のみを守るだけでなく、高弾性バンパーガードの働きで左右からもがっちりガード!

さすがにクランクベイトでは攻めにくいかな…と思っていた場所も、ソフトベイトを使ったスローな展開ではなく、ファストムービングなアプローチが可能になるのだ。

2008年:Zクランク フラットサイド

ファットボディのクランクベイトとは異なる、メリハリの効いた水押しやフラッシング効果が優れたフラットサイドタイプのZクランク。

直進安定性とアクションレスポンスに優れており、バイブレーションさながらの早巻きからデッドスローリトリーブまで、幅広いリーリングスピードに対応する。

そのアクションを見比べれば、実は初代Zクランクをイメージした設計になっていることがわかるはずだ。

2009年:ビッグZ

重さ1ozという超ド級バルサ製クランクベイトで、ビッグクランクの走りとも言える存在。

そのボリューム感からは予想できないほどに使用感は軽く、それでいてしっかりと水を撹拌。ビッグフィッシュに狙いを定めたシチュエーションでは特にその威力を体感出来るだろう。

シャロークランクのような見た目だが潜航深度は深く、後のBIG-Mシリーズへとつながっていく。

2009年:Zクランク ティアドロップ

その名の通り、涙型に細長く伸ばしたような形状のZクランク。

オリジナルの形状よりもよりロールアクションが追求されており、リーリングスピードが速まるほどその能力が向上する。

巻いていて糸鳴りを感じたらそれこそが釣れるスピードの合図!

2009年:ZクランクX シリーズ

上:ZクランクX(2009年) / 下:ZクランクX Jr.(2010年)

2006年に復刻したZクランクを、当時メガバスUSAのプロスタッフだったアーロン・マーティンス氏が気に入ったことをきっかけに、開発チームの手によって誕生した、言わばアメリカ生まれのZクランク。

上:ZクランクX Ti AM-LTD(2009年) / 下:ZクランクX Jr. Ti AM-LTD(2010年)

復刻版Zクランクの優れた浮力に、広大なフィールドで使用するのに適したラウドなラトル音や激しいアクション、リップラップなどに激しくぶつけても安心のチタン製リップを持たせたりと、アメリカのトーナメントで重要なエリアゲーム(広域からバスを探して釣っていくスタイル)における使用を第一に作られたモデル。

フィネスな方向に進化していた日本のZクランクとは真逆のコンセプトではあるものの、コンペティター向けという点では決してブレず、メガバス的である。

この方向性は、SクランクやドッグXディアマンテなどを生み出したSTWブランドを発足させ、米国向きの競技専用ルアーを生み出す基礎となった。

オリジナルサイズとJr.サイズ、そしてそれぞれのラウドサウンドモデルとチタンリップモデルが存在した。

2010年:Zクランク バイブラッシュ/Jr.

上:Zクランク バイブラッシュ / Zクランク バイブラッシュJr.

リアフックの代わりにスイベルを介したコロラドブレードが取り付けられたZクランクの派生型。

ウィードフラットの上っ面を広範囲サーチするような使い方に対応しており、下から魚を引っ張り上げる能力に長けている。

そのため、リザーバーのオープンウォーターにおいてもスクーリングフィッシュを引きつけることが可能。

魚を広域から引きつけて追尾させ、バイトに持ち込ませるというコンセプトは現在ソルトルアーフィッシングで大人気のマキッパへとフィードバックされている。

2020年:スーパーZシリーズ

上からZ1(2020年)、Z2(2020年)、Z3(2021年)

あらゆるフィールドで有効なコンパクトなサイズ感があること、ファットボディによる激しいロールアクションがサイズ感を超越したアピール力を持つこと、動き続けるプラグがいかに釣れるのかなど、歴代のメガバスプラグて培った知見を統括し、ゼロベースで作り上げた最新にして最高のZクランク。

最新鋭の重心移動システムであるLBOIIを可能な限り低重心になるよう搭載し、この部分をアクションの中心軸に。さらにエイト環のワイヤー径を細くするなど、徹底的に重心位置の分散を避けたことで、究極とも呼べる精緻なロールアクションを実現している。

そのハイピッチアクションは泳ぎだしの良さにも直結しており、糸がわずかでも張ってさえいればルアーがロールアクションをしているという状況を実現している。

2021年現在、潜航深度別にZ1、Z2、Z3が存在。

特にZ3はコンパクトボディでありながら逆風を切り裂く遠投性能を持ち、それでいて4m以上の潜航深度を誇る。

伊東由樹のクランクベイトTIPS

ワームが釣れる理由とメガバスのクランクベイトが釣れる理由は同じ!?

Zクランクから始まり、今回紹介したいくつもの発展型が生まれ、さらにはそれ以外にもメガバスにはたくさんのクランクベイトがラインナップされている。

ではそもそも、クランクベイトとはどういったルアーなのだろうか?

伊東「地形を探りながらバスを探していくルアーです。バスが好むボトムの性質や沈んでいるものの有無、そしてブレイクの様な変化そのものを探り当てるためのルアーとも言えますね」

ブラックバスと言えば基本的には変化を好む生き物であり、その変化そのものを探すことがクランクベイトの目的になるのだという。

伊東「そして、その変化を把握し続けて、なおかつバスを誘い続けられれば、それがいずれ釣果につながるわけです。そのためのクランクベイトをメガバスでは作ってきたんです」

変化を探しつつ、バスを誘い続けるという考えだが、これが意外と曲者なのだ。

伊東「ソフトルアーがよく釣れる理由ってなんだと思いますか? それは、止めていられないほど、動き続けているという点です。常に魚を誘い続けています。ワームの場合、ボトムに放置してこちらがロッド操作を加えなくても水流によってパーツ類が動き続けるんです。つまりルアーを見つけたバスが興味を失いにくいわけです」

そんなワームに限りなく近づけるために試行錯誤をこらして登場したのがZクランクであり、スーパーZなのだ。

伊東「クランクベイトってボトムを叩いているときに例えばスタックしかけたり、なにかにコンタクトして軌道が外れたときに動きが止まってしまうんです。つまり誘いのない瞬間がきてしまう」

クレバーなバスほど、そういった場面で見切ってくるだろう。

伊東「スーパーZにはそれがありません。とにかくボトムにガッツリ噛みついて泳ぎ続ける。手元に抵抗を感じれば、スーパーZは泳ぎ続け、誘っているんです」

クランクベイトを使いこなすためのタックルとは!

伊東「タックルに関しても同様です。泳いでいるクランクベイトが届けてる情報をしっかりと伝達させ、感じ続けることのできるタックルがベストです。ロッドはデストロイヤーで言うと、『F3.1/2-70X Zクランク・エルザイル』がその名前からも分かる通りベストマッチです。広範囲を探る上で大切な遠投もしやすいレングスですし、リアクションで食わせるクランクベイトに多いラフアタックもしっかりと絡め取ってくれます。スーパーZの中でも、潜行レンジが浅めのZ1やZ2がメインであれば、パワーがもう1ランク下の『F2.1/2-611X カスミシックスイレブン』もいいですね。逆にZ3がメインなら、『F4-66X サイクロン』。同じF4でも『ワンテンスティック(F4-65X)』なら、3種類どれも使いやすいはずです。喰い込みの良さを求めて、エヴォルジオンもいいですよ。ウィードカットの様に瞬間的に力をかけられるのに、吸い込みが抜群なんです」

喰い込みの良さという点では、クランクベイト用ロッドと言えばグラスロッドを使用する印象もあるが…。

伊東「デストロイヤーにも以前はトマホークというグラス系モデルをラインナップしていましたが、今の所予定はありません。というのも、素材や製法の進歩により、カーボンロッドでもトルクをもたせつつも喰い込みのいいロッドが作れているからなんです。ですがもし、カーボンロッドを使っていてもう少しグラスロッド的なニュアンスが欲しい場合、ナイロンラインを試してみてください」

トップウォータープラグを使用するさいにはまだまだ人気の根強い、比重が比較的軽く、伸びやすいラインがナイロンラインだ。

伊東「とはいえ、基本はフロロカーボンでいいと思います。そして出来れば少し細めのラインを使用することで、アクションのピッチを正確に刻ませることができて、手元にも情報がはっきりと伝わってきます。重要なのは飽きずに水中の様子をいかに把握し続けるか、ですからね。ちなみに、アイのトゥルーチューンを乱さないためにも、スプリットリングは外さないのを推奨します。リングに直接ラインを結ぶのはもちろん、軽いものを選ぶ必要はありますがスナップを介してもいいです。アクションの可動域が増えるのでスナッグレス性能も上がりますし、アクションが良くなることもあります。クランクベイトであればリップがあるのでバスは気にしないと思いますしね」

魚が答えを教えてくれた『本当に釣れるルアー』が今につながる

初代Zクランクを当時と同じ手間をかけて今販売したとすれば、1つ1万円以上はするという。

伊東「そのくらい時間と手間がかかっていたわけです。現在はもちろん、技術の進歩によって、もっと楽に作れるようになっていますけどね」

実際、過去に初代Zクランクそのままの復刻モデルは何度か非売品として登場しているのはご存知のとおりだ。

伊東「でも時代の変化とともに失われたもの、変わってしまったこともあります。特にそれを感じるのが、釣り場そのものに関してです。初代のZクランクを作っていたころ比べて、明らかにブラックバスという魚が釣れなくなっていますよね」

全国各地のフィールドで、年々難しくなっているのは多くのアングラーが感じているはずだ。

伊東「実はこのことは、ルアー作りにおいても問題になるんです。ルアーを作っていく際にテスト釣行があるわけです。例えば、少しずつセッティングの違う3つのルアーがあったとして、今それを使ったテストをしたら、1尾でも多く釣れたものが合格になるでしょうし、もしかしたら1つしか釣れず、それが合格になるかもしれません。ですが、本当に釣れるルアーの僅かな差というのは、数を釣って初めて知ることなんです。昔は、ルアーが3つあるのなら、そのうちの2つは10尾前後しか釣れないけど、3つ目は20尾以上釣れる、みたいな歴然とした差が出ていました」

魚が答えを教えてくれるとは、まさにこのことなのだ。

そういったテストを行うためにも、現在は日米の広域フィールドでテストを実施しているのがメガバスだ。

「逆に言えば、昔からあって今でも使われているルアーというのは、かつて行われていたテストで明確な差を出したルアーであるというわけなんです。そしてそこで釣れる理由の解明の蓄積こそが何よりもの財産なんです」

それでも、と伊東さんはいう。

伊東「人間の初期衝動っていうんですかね。あれは凄いものがあると思うんです。メガバスを立ち上げて、最初に作ったZクランクは、荒々しくも自分の熱い思いと感性が集約されていました。実はスーパーZと今江さんとやっているIXIシャッド、これを足して2で割ると初代Zクランクになるんです(笑)」

上から初代Zクランク、IXIシャッド、スーパーZ Z2

時代の進歩によって導入された技術力やシステムはあれど、根底にある『釣れる』ルアーの真理はあの頃とは変わっていない。

終わりを願って名付けたルアーに端を発したメガバスと伊東さんの30余年に及ぶ道のりは、こうして再び『Z』に辿り着いた。

しかし日本に、そして世界に求められるメガバスは、更なる新技術を生み出し、知見を増し、その歩みを決して止めないだろう。

そしていつかまた、真理に帰結するのだ。メビウスの輪のように。

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