好評不定期連載中のルアマガプラス、釣り場の怖い話シリーズ。さぁ、今回は怖いというか不思議なお話。心霊現象、オカルトなんて科学で証明できる。不思議な事も全て物理だなんて否定するみなさん、じゃぁ、人間の「意識」の正体について証明してくださいネ。できませんよね? まだまだ世の中にはわからない事、理屈では証明できない事なんていくらでもあるんですよ。信じる、信じないはあなた次第。では、釣り人のMさん。よろしくお願いします。



鹿やタヌキが出る日は良く「釣れる」

私、渓流釣りをやっていまして。よく、九頭竜川の支流にイワナを釣りに行ったんですよね。金曜日の夜に、家を出て朝マヅメ時から入渓する予定でした。京都に住んでいましたから、鯖街道を抜けて福井に抜け、当時はトラウトのパラダイスだった九頭竜川に入りました。

ちょうど曇ってはいますが、満月の夜でした。道中に鹿やタヌキなどが行き交い、危うく轢いてしまうのでは??というくらい動物を目撃した夜だったんです。こういう動物を道中に良く見る日は、魚が良く釣れるというジンクスがあります。なので、明日の釣りは絶対にいいだろうとワクワクしたものです。しかも、天気予報では小雨が降るとのこと。釣り師にとっては願ったりな天候です。

そういや、霊感がある友人がこんなことを言っていたのを思い出しました。「幽霊を道中に見る日、ほぼ、釣果、外さないんだよね。幽霊を見る日って、動物の活性が高い日となぜか重なるんだよ」

ひとりで運転していたので、その話を思い出し少し寒気がしました。が、幸いなことに、タヌキや鹿を見ただけで何事もなく目的の沢に到着したんです(笑)。

まだ日もあけていません。とりあえず夜明けまで仮眠を取ることにしました。そして、到着してから3時間くらい寝たでしょうか。

うっすらと周りが明るくなったのを見計らって、釣りの準備をすることにしました。小降りの予報だった雨ですが、比較的シトシトとしっかり降っているように感じたものの、これぐらいならば釣りには影響ないと考えました。

良い水量で、良く釣れるイワナたち

準備をして入渓して釣り上がること数時間。この日は本当に良く魚が釣れました。いつものプランでは昼くらいまで、ひとつの渓で釣りを楽しんだら、午後はゆっくり蕎麦でも食べて、隣の支流に入って軽く釣りをする。ほどよく釣れれば、夕方を待たずして帰るパターンが多かった気がします。帰りは温泉に入って、のんびり疲れを癒し自宅に帰る...。これが休日の釣りの自分の王道です。

画像1: 写真はイメージです。

写真はイメージです。

最初に入った小渓流で、いつもより魚が釣れて夢中になりました。いつもは引き返す堰堤ですが、そこを高巻きしてさらに上に入ってみようと考えました。その先は、何度か釣りをしたことがあるのですが、切り立った深い谷に流れる渓相に変化します。

数キロ先までは川を登るか降るかの二択となる、ちょっとした水路のようになり谷が深くなります。そういうこともあり、遡上は左右の岩を慎重に歩きながら進む難所です。ただ、そのエリアをすぎると林道があり、車を置いた場所に戻ってこれるのですが、一度入ったら逃げ場のない小渓流なんです。

ただ、型のいいイワナが釣れるんですよね。この日は魚の活性も高かった事もあり、先に進んでみることにしました。そこで、その渓に侵入するために、堰堤を回避し、岩をよじ登って手をかけた先を見てびっくり。思わずワァ!と声を上げて滑落しそうになりました。

画像2: 写真はイメージです。

写真はイメージです。

そこには、白い蛇が岩の上に居座っていたのです。

アルビノの蛇か....?? 珍しい! フィッシングバッグに入っていたカメラをとりだして写真を撮ろうとわちゃわちゃしましたが、こちらに気づいた白蛇はスルスルと岩を抜けて姿を消してしまいました。大きさから言ってアオダイショウのアルビノでしょうか。

そのアルビノの白い蛇を見て、興が冷めてしまい、その渓での釣りを辞める事にしました。その時、木々が覆いかぶさっていることから、雨足が強くなっていることに気づいていませんでした。ついでに、昼前ということもあり急にお腹がすいてきたのです。この日は車におにぎりを用意していたこともあり、そこから戻ることにしました。

休憩を終えて、2本目の小渓流に入渓。

車に戻って、昼食のおにぎりを口にしました。少し、休憩してからもうひとつの渓流に移動して釣りを楽しむことに。これは予定通りです。次の渓流までは車で10分も走れば到着します。道中、ラジオを聞いていると、雨が強まることを報じています。確かに、雨足は強まっていますが釣りができないほどではないと感じ、その予報に気をとめることもなく次の渓で釣りをすることにしました。

やはり、その日は魚がいつも以上に釣れるんです。これはタヌキや鹿効果だなとほくそ笑み、釣りを楽しみました。いつも釣りをする流程の半分ほどきたでしょうか。そこには堰堤があり、ここも先ほどの渓流と同じようにそこから先に行くと数キロ登らなければ林道に上がることができない地形になっています。つまり、ここで引き返さなければ、とうぶんは川べりに居座ることになるということです。

画像3: 写真はイメージです。

写真はイメージです。

ということで、その堰堤を高巻きするために、横からよじ登り、今度は堰堤の上に立ちました。そして、目を疑いました。堰堤の対岸に、また蛇がいたのです。しかも、こんなことはありえない...。そこにいたのは、アルビノの白い蛇なんです。

いくら近くと言っても、数キロ以上離れている....

どんな生物でもアルビノ個体というのは超レア種です。それはかなり低い確率で生まれてくる個体のはず。先ほど見た白蛇と同一の個体であることは考えられません。さきほどの渓流からは近いと言っても数キロ以上離れています。移動してきたとは考えにくい...別の個体なはず...。さきほどは至近で白蛇を確認しましたが、今度は10m以上離れていますから細かいところまではわかりませんが、大きさも種類もだいたい同じくらいに感じました。

たまたまの偶然でしょうか? 1日で白い蛇を二度も見るか? ちょっと気味が悪くなりました。

その蛇は堰堤の上から動こうとしません。空を見上げると、雨がより強くなっていることに気づきました。被っていた帽子から、シトシトと水が滴り落ちるくらいです。

冷静に川を見ると、やや増水しています。釣りができないほどではありませんが、やや濁りが出てきました。実はこの川、それなりの雨が降ってもそんなに濁る川ではありません。周りが広葉樹に覆われているので、保水力があるいい川なんです。

ああ。濁ってるな....。雨が強いな....。でも、これぐらいなら釣れるよな....。白蛇を見ながら少し葛藤します。ああ、でも気味が悪いな。今日は、十分に釣れたし帰ろうか。もんもんと悩み、そうこうしていると、白蛇は岩に消えて行きました。でも、やっぱり今日は釣れる日だ。もう少し川を釣り上がろう。そう決意した瞬間に電話がなりました。

当時はJ-フォンというキャリアーで、モトローラーの黒い携帯電話を使っていました。山の中だとほとんど電波状況が悪く繋がりにくいのがあたりまえの時代です。そんな携帯が2度ほどなりました。そしてプツリ。そして、また鳴ってプツリ。高台に上がれば電波が拾えるかもしれないと思い、林道に上がることにしました。アンテナを広げて、着信を待ってはみましたが、着信できる電波状況ではないし、それ以降、着信はありません。



刹那起こった、恐ろしい光景....

その時でした。上流から妙な音がします。地鳴りのような音です。えっ!?と思った瞬間、眼下に広がる小渓流が恐ろしいほどの濁流に変わっていました。鉄砲水です。普段はちょっとした小川なのですが、川幅がみるみる広がり、先ほど立っていた堰堤も軽く飲み込んで下流へと流れているではないですか....。

間一髪...。このまま釣り上がっていたら....。ぞっとしたと同時に、ハッとしました。あの2度も見た白蛇を。これもしかして警告だったのではないか?? 守ってくれたんじゃないか?? 好意的に捉えるとそんな気がしたのです。しかも、妙な電話....。どこから掛かってきたかはわかりませんが、確かに二度、着信があったのです。この電話の着信がなければおそらく、林道に上がろうとはしなかったでしょう。少し恐ろしくなり、急ぎ、車に戻りました。

そして、帰り際に、さきほど入渓した川を横目に見ると....。午後に入った川と同じように、恐ろしいほどの流量で流れているではないですか。でも、しかし、こんな濁流化するような雨量か??その時はちょっと疑問に思いましたが、その謎は後で解けました。それに、よくよく考えて見ると、あの狭い谷は危険な流量になっているはずです。あの一尾目の白蛇に出会った場所で引き返していなかったら、タイミング的に危なかったかもしれません。そう思うと、あの一尾目の白蛇も警告の為に現れたのか??と思ってしまうほどです。

偶然にしてはできすぎた、2尾の白い蛇...。謎の2度の着信。危機一髪を乗り切れたのは.....。

帰宅して調べたことは2つ。入渓した水系の数日間の雨量。釣りに行った日はたまたま、鉄砲水を引き起こすほどの雨量では無かったのですが、数日間、あの水系にはそれなりの雨が降っていたことがわかりました。どこか上流で、水が溜まっていたのかもしれません。それがあの釣行当日の雨でフローしてしまったことが考えられました。

そしてももうひとつ。当時のJ-フォンの通話可能エリアを調べました。入渓した場所付近はまだ、電波がそもそも整備されていないエリアだったんですよね。つまり、着信があったこと自体おかしな話なんです。

あの不思議な2尾の白蛇と、2回の着信。そしてその後の鉄砲水。それ以来、白蛇が祀られている神社などにでかけると、その時のお礼を欠かさないようにしています。怖い...という話ではありませんでしたが、いかがだったでしょうか?




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